MLB

3月の全力投球を懸念する声も。ロッテで“重宝”されてきた佐々木朗希の侍ジャパンでの「ベストな起用法」を考える

西尾典文

2023.01.28

好調時には堂々たるマウンド捌きを見せる佐々木。その圧倒的なピッチングを国際舞台で披露できるかに注目が集まっている。写真:塚本凜平(THE DIGEST写真部)

 1月26日、来る3月8日に開幕するワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場する日本代表メンバー30人が発表された。
【動画】球史に名を刻み、世界を驚かせた13者連続奪三振! 佐々木朗希の163キロシーンをチェック

 ダルビッシュ有(サンディエゴ・パドレス)、大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)、鈴木誠也(シカゴ・カブス)、吉田正尚(ボストン・レッドソックス)、ラーズ・ヌートバー(セントルイス・カーディナルス)と過去最多5人のメジャーリーガーの選出が大きな話題となっている今大会の代表選考。そのなかで国内組において最も注目を集めているは、やはり佐々木朗希(ロッテ)になるだろう。

 プロ3年目の昨季は飛躍の1年となった。4月10日のオリックス戦で28年ぶりとなる完全試合を達成。さらに続く登板試合でも降板する8回までパーフェクトという快投を見せ、多くのファンを驚かせた。もしも、2試合連続の完全試合となれば、まさに空前絶後の大記録であった。

 その後は首脳陣の意向から疲労を考慮され、ローテーションを飛ばしながらの起用になり、惜しくも規定投球回到達と2桁勝利は逃した。だが、9勝4敗、防御率2.02という成績は見事というほかにない。
 
 さらに1イニングあたりの被安打+与四球で示す指標「WHIP」は、先発投手であれば、「1.00」を下回れば超一流と言われているが、昨年の佐々木は0.80をマーク。これは両リーグで100イニング以上を投げた投手ではダントツの数字である。また、奪三振力も驚異的で、173は両リーグを合わせても山本由伸(オリックス)の205に次ぐ2番目の数字となっている。

 また、奪三振率は異彩を放つ12.04を叩き出しているが、2年連続5冠達成を果たした山本が9.56であることを考えるといかに圧倒的かがよく分かるだろう。ちなみに完全試合を達成した試合でマークした13者連続奪三振はプロ野球新記録であり、メジャーでも例のない大記録だ。

 無論、これだけの力があれば、WBCでも投手陣の中心としての働きを期待したいところだが、一方で不安要素を指摘する声があるのも確かだ。その大半は体力面とコンディショニングである。昨年も5月までは圧倒的な投球を見せていた佐々木だが、オールスター明けの8月の4登板で2勝2敗、防御率4.44と大きく成績を落としている。9月以降は数字的には再び持ち直しているものの、シーズン序盤ほど相手を圧倒するような投球は見られなかった。

 プロ1年目に実戦登板を回避して体力作りに費やし、その後も休みを挟みながら"重宝"されてきた。ゆえにシーズン開幕前の3月にコンディションのピークを持ってくるのは、佐々木の将来を考えても「危険だ」という考えは十分に理解できる。

 では、そんな佐々木をどう起用するのが、「世界制覇」を掲げる侍ジャパンにとってはベストなのだろうか。
NEXT
PAGE
3月の時点で佐々木の状態が良ければ……