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3月の全力投球を懸念する声も。ロッテで“重宝”されてきた佐々木朗希の侍ジャパンでの「ベストな起用法」を考える

西尾典文

2023.01.28

160キロを超える速球と鋭く落ちるフォークは、海外の強打者たちにも通用しうるボールだけに、首脳陣がベストな起用ができるかがカギとなりそうだ。写真:田中研治(THE DIGEST写真部)

160キロを超える速球と鋭く落ちるフォークは、海外の強打者たちにも通用しうるボールだけに、首脳陣がベストな起用ができるかがカギとなりそうだ。写真:田中研治(THE DIGEST写真部)

 現実的なのは、日本ラウンドのそれほど負担がかからない試合で起用し、準々決勝以降は様子を見て判断するというものだろう。

 佐々木にとっても3月から全開の状態になるように調整するのは、初めての経験であり、短いプロキャリアと体力的な不安を考えても調子が上がり切らない可能性も十分に考えられる。経験値のある投手であれば、コンディションが悪くとも投球術で何とか試合を作る計算ができるが、彼はまだ22歳と若く、そもそも、そういうタイプでもない。

 幸いにも今大会の侍ジャパンにはダルビッシュ、大谷、山本という実力も経験も備えた投手が揃っている。また、今大会から1次ラウンド終了時点と準々決勝終了時点で4投手の入れ替えが可能となり、今オフのメジャー移籍が考慮されて今回の選出からは漏れた千賀滉大(メッツ)を追加招集できる可能性も残っている(1月27日時点)。ゆえに無難に戦うのであれば、準々決勝以降は経験豊富な彼らを先発で起用するというのが妥当だろう。

 ただ、仮に3月の時点で佐々木の状態が、昨季の開幕時期(4月)のようなレベルにまで上がってきていた場合は話が変わってくる。

 常時160キロを超えるストレートと、同じ軌道から鋭く落ちるフォークを高い精度で投げられる投手は他にはおらず、佐々木が好調時に見せる投球はダルビッシュ、大谷、山本、千賀の4人をも上回っている印象を受ける。
 
 また、対戦国の選手で彼のボールを実際に見た経験を持つ選手は少ない。多くの場合、初対戦は投手に有利に働く。その点も佐々木にとって大きなアドバンテージと言えるのではないだろうか。本調子だと判断すれば重要な準決勝、決勝で起用すべきだろう。

 そうなると重要になってくるのは大会までの調整と、佐々木の調子の見極めである。この点はプロ入り直後から佐々木を見続けてきたロッテの吉井理人監督が侍ジャパンの投手コーチとして名を連ねているのは、大きなプラスであると言えよう。

 新監督でありながら、開幕前の重要な期間にチームを離れるのは勇気のいる判断だったと思われる。裏を返せば、それだけ侍ジャパンにとっても、吉井監督にとっても、佐々木は重要な存在であると言える。

 昨年の序盤に見せたような投球さえできれば、どんな打線でも抑え込める可能性は高い。それだけに世界の大舞台でもその実力をいかんなく発揮し、侍ジャパンを世界一に導いてくれることを期待したい。

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間400試合以上を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。


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