侍ジャパン

“生きた教科書”ダルビッシュの教えを受けた佐々木朗希がどこまで「魔球」を使いこなすか【侍ジャパン壮行試合プレビュー】

THE DIGEST編集部

2023.02.24

ソフトバンクという強敵を相手に、どこまでの内容を残せるか。佐々木の投球には、やはり注目だ。写真:梅月智史

「早く実戦がしたい」

 これは宮崎合宿の第2クール2日目あたりから侍ジャパンの選手たちが口々に漏らした言葉だ。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)開幕に向け、充実した調整を続けている選手たちだけに、いち早く実戦の場で「課題」を見出し、本番に向けた精度を高めたいのである。

 とりわけ投手たちは、その想いが強いはずだ。NPBの公式球よりも滑るとされるWBC球への対応も求められる彼らは、実際に打者と対峙し、ブルペンでは得られない感覚を養っていかなければならない。

 そうしたなかで、2月25日に行なわれるソフトバンクとの壮行試合で投げる投手は、すでに発表されている。

 先発は佐々木朗希(ロッテ)で、2イニングを投げる予定。続く2番手には今永昇太(DeNA)が2イニングを繋ぎ、その後に伊藤大海(日本ハム)が1イニング、宮城大弥(オリックス)の2イニングを挟み、戸郷翔征(巨人)と宇田川優希(オリックス)が1イニングずつに登板。そしてタイブレークでは高橋宏斗(中日)が投げる。

 この並びを見て、やはり気になるのは、"令和の怪物"の仕上がりだ。
 
 来月11日の1次ラウンド3戦目となるチェコ戦での先発登板が決定的と見られている21歳は、今キャンプでもマイペースで調整を続けてきた。2度のブルペンでは、いずれも周囲のギャラリーを唸らせる力強いボールを多投。時にトラックマンのデータと向き合いながらボールの精度を高めている。

 日本代表合流前のヤクルトとの練習試合でも2回(29球)を投げ、無失点、5奪三振と上々の結果を出していた佐々木だけに、仕上がりはさほど問題はないだろう。そうしたなかで、あえてチェックしておきたいのは、スライダーの精度だ。

 自ら「もう少し安定して曲がってくれれば」としていたスライダーについては、この宮崎合宿でも課題克服のために、さまざまな工夫を凝らしてきた。時にはメジャーリーガーであるダルビッシュ有に指南を仰ぎ、身振り手振りでレクチャーを受けた。

 そんな百戦錬磨のダルビッシュから「良くなっていると言ってもらえた」と満足げだった佐々木。日本球界が誇る怪物右腕が、メジャーのエース直伝の魔球を体得できれば、まさに鬼に金棒。ゆえに見逃せない。

文●羽澄凜太郎(THE DIGEST編集部)

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