プロ野球

「そんなモンじゃないだろ?」西武・隅田知一郎に渡辺GMも期待!10連敗を喫したドラ1が目指すものとは

岩国誠

2023.02.25

2021年ドラフト1位で入団した隅田。菊池雄星の背番号「16」を継承している。写真:岩国誠

 2月23日。西武南郷キャンプ最終日のブルペンで、力のこもった投球を見せていたのが、2021年西武ドラフト1位・隅田知一郎。昨季、1勝10敗に終わったルーキーイヤーからの巻き返しを狙う男だ。

「チームに貢献できなかった。来年こそ規定投球回数をクリアし、逆襲のシーズンにしたい」

【動画】「投げるのが楽しすぎる!」鴻江自主トレに参加した隅田知一郎をチェック

 契約更改の席でそう話した隅田は、このオフ、今季メジャーへ移籍した千賀滉大がかつて師事した鴻江寿治氏主催の合同自主トレに参加。従来の下半身主導の投球フォームから、隅田の身体に適しているという上半身主導のフォームへと変更した。

「投げれば投げるほど良くなっていっているという感じです。楽に力を抜いて、リズムをとって、そのままスーッと体重移動に移っていくという感じですが、見事にハマっています。ボールをリリースするときの感覚が全然違います」

 昨年勝てない試合が続いたなかで、辻発彦前監督に「力み過ぎ」と指摘されたことがあった。鴻江自主トレで自らの投球を見つめ直したことで、そうしたケースは減少しそうだ。

 自主トレで得た感覚と向き合いながら迎えた今年の春季キャンプ。去年、一軍4試合でバッテリーを組み、2月18日の紅白戦でそのボールを受けた捕手の拓植世那は、隅田の大きな変化をミット越しに感じ取っていた。

「真っ直ぐの強さは前からありましたが、手元まで強い。ボールが本当に垂れないですし、逆に(ベース板の上で)伸びてくるぐらいの感じで、ボールが本当に変わっていると捕っていて思いました。『打者有利のカウントでインコースの真っ直ぐで空振りが取れたのは大きい』と本人も言ってましたし、実際バッターも刺されている感じはありました」
 
 多彩な変化球を持つ隅田だが、一番の魅力は左腕から繰り出される力強いストレート。力で押せるピッチングができるとなれば、その変化球もより生きてくるはずだ。

 さらに長いイニングを投げるために、トレーニングだけでなく、食事など栄養面に関しても、真摯に向き合っているという。キャンプにも帯同した管理栄養士の根本風花さんはこう証言する。

「食事面に関しては、入団した時から意識は高いという印象がありましたが、今年は特に補食であったり、食事以外の部分にも力を入れているなという印象を持っています。あとはプロテインだったりとか、EAA(必須アミノ酸9種類)とか、そういうものも取り入れていこうというところで、意識の変化を感じました。隅田選手が選択したものについて『これはどうですか?』と評価を求められることが結構ありますね」
 
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