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トレバー・バウアーの投球哲学。なぜ彼は最新テクノロジーを駆使するのか【独占インタビュー】

スラッガー編集部

2019.12.05

今年7月にインディアンスからレッズへ移籍したバウアー。インタビューは6月に行われた。(C)Getty Images

 6月にアメリカで発売され、大きな反響を呼んでいる『The MVP Machine』で、事実上の主人公と呼べるのがバウアーだ。独自の感性と哲学を持ち、ラプソードやエッジャートロニックなどの最新機器を利用しながら理想のピッチングを追い求める姿は、新時代の選手像を鮮烈に印象付けた。一躍、「時の人」となったバウアーが今回、本誌の独占インタビューに応じ、ドライブライン・ベースボールとの関わりや、自らの投球哲学について詳細に語ってくれた。

   ◆   ◆   ◆

――ドライブライン・ベースボールのどんなところに引かれたのかな?

トレバー・バウアー(TB)  徹底的にパーソナライズしたプログラムを組んでいるところだね。これまでは、インディアンス流とかレンジャーズ流、何でもいいけど「うちではこんなふうにやっている」という感じだった。でも、ドライブラインは個人に合わせるんだ。「その人がどんな動きをするか? どれだけ強靭な身体か?」というところに焦点を合わせる。まず、その人について、その人が何をしたいのか、何をするべきなのかを知る。そこから、プログラムを個人用にテイラーメイドしていく。最初の目標がクリアできたら、次の目標を設定する。投球もトレーニングも、選手育成(Player Development)全般で徹底的にパーソナライズしているんだ。
――君と同じような形でレベルアップを目指す選手が増えているという実感はある?

TB 確実に広まってはいるよね。それは間違いない。初めてドライブラインに行ったのは2013年で、僕は最初のプロのクライアントだった。それが17年にはたくさんのクライアントがいるようになった。ただ、どれだけの選手が実際にこういうトレーニングをしているかは見当がつかない。というのも、いろいろなやり方があるからね。僕と違うテクノロジーを使っている選手もいる。彼らは、僕と違うやり方でレベルアップしようとしているんだ。

 これまではオフシーズンに休んで、6週間のスプリング・トレーニングを通して試合を戦える状態にしてきた。それが、オフシーズンもトレーニングを続ける選手が出てきたおかげで、プレーや身体能力のレベルが上がったんだ。そのおかげで、誰もがオフにもトレーニングをするようになった。若い奴らに取って代わられないためにね。

 知っての通り、この10年間で投手の平均球速が急激に上がって、ホームランの数も増えた。その要因の一つは、(ゲームにおいて)何が効果的なのかを定量化できるようになったからだ。ホームランを打つのはいいことだから、三振が多少増えたとしても狙う価値はある。バントはおそらくあまり効果がない。そういうことが分かってきて、選手もその知識を活用するようになった。今はゲームのレベルが劇的に上がっているんだ。
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「次世代のトレバー・バウアー」にも正しい情報を伝えていくことに熱心なんだ。