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侍ジャパン

松井裕樹は不調から抜け出せるのか? 世界一の瞬間にマウンドに立つ“真のクローザー”候補は誰だ【WBC】

出野哲也

2023.03.02

通常クローザーとして起用されている4選手。左上から時計回りに栗林、松井、大勢、湯浅。写真:梅月智史

通常クローザーとして起用されている4選手。左上から時計回りに栗林、松井、大勢、湯浅。写真:梅月智史

 2006年の第1回大会は大塚晶則、09年の第2回大会はダルビッシュ有。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)決勝戦で世界一の瞬間にマウンドに立っているのは、先発投手が完投するケースがほとんどない以上、抑え投手だけが持つ特権と言っていい。来たる第5回大会で日本が優勝するときに、その栄誉を担っているのは誰だろうか?

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 今回の出場選手の中で、通常クローザーとして起用されているのは松井裕樹(楽天)、大勢(巨人)、栗林良吏(広島)。クライマックスシリーズで2セーブを挙げた湯浅京己(阪神)も含めると4人だ。

 もちろん09年のダルビッシュ(パドレス)のように、本来は先発で投げている者が抑えに回る可能性はゼロではない。大谷翔平(エンジェルス)や山本由伸(オリックス)らの名前も挙げられているし、伊藤大海(日本ハム)も今回はリリーフ要員としてメンバー入りしている。

 しかし、いつも先発で投げている投手を、このような大舞台でいきなり抑えとして使うのは好ましくない。09年決勝戦のダルビッシュも1点リードで迎えた9回裏には1点を失い、危うくサヨナラ負けするところだった。

 どれだけ能力が高い投手であっても、通常とは違う場面や状況で起用されれば、持ち味を十分発揮できるとは限らない。やはり“専門職”に任せるのが一番だし、そもそも長いイニングを抑えられる投手を後ろに回すこと自体が本末転倒だ。
 
 また、先述した4人もクローザーとして積んだ実績には差がある。大勢は昨年がプロ1年目、湯浅も一軍では初めてのフルシーズンだった。しかも湯浅はクライマックスシリーズに投げているが、大勢はその経験すらない。チームどころか「国」の期待を背負うという、途方もない重圧がかかる場面では、彼らは未知数だ。

 その点、松井は17年の第4回WBCメンバーであり、栗林は21年の東京五輪で胴上げ投手になっている。松井は同大会で3試合に登板し、2.2回を投げ被安打0、5奪三振で無失点という見事な成績を収め(ただし決勝トーナメントでの登板はなかった)、栗林はルーキーでありながら5試合すべてに登板し、2勝3セーブを挙げた。

 WBCや五輪のような、国民全体が注視する大会で登板したことがない若い投手たちに、失敗すれば日本中のファンから非難を浴びかねない重責を背負わせるのは難しい。やはりクローザーとして数年の経験を積んでいて、重要な国際大会での実績もある松井と栗林以外に適任はいないと思われる。
 
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