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侍ジャパン

“異変”の予兆があった2月25日の打撃練習――左腹斜筋痛でWBCを辞退した鈴木誠也の気になる復帰時期<SLUGGER>

ナガオ勝司

2023.03.02

東京五輪では全試合4番を務めた鈴木。侍ジャパンにとってはあまりにも痛い離脱だ。(C)Getty Images

東京五輪では全試合4番を務めた鈴木。侍ジャパンにとってはあまりにも痛い離脱だ。(C)Getty Images

 大事なのは、これからだ――。

 2月28日(現地)、日本で「大谷翔平と藤浪晋太郎の対決」(と言っても、大谷は投手のみの出場だったので、本当は対決とは言えないが)が報道された日の朝、アリゾナ州メサ市にあるカブスのキャンプ地の片隅では、鈴木誠也がワールド・ベースボール・クラシック(WBC)辞退後、初の会見を行った。

「いやもう、残念のひとことです」と鈴木は言った。

「本当に悔しいですし、そこに合わせてずっとやってきていたんで、凄くショックです。久しぶりに日本で、日本のファンの皆さんの前でやれるチャンスがあったんで、すごく楽しみにしていたんですけど、こういう形で離脱となってしまったのは、楽しみにしてくれていたファンの皆さんにすごく、申し訳ない気持ちでいっぱいです」

 辞退の原因となったのは、「Left Oblique(左腹斜筋)」の痛みだった。怪我の「グレード(症状の重度)は明かされなかったが、広報が苦心して言うには、「Moderate Strain=中度の張り」だという。

 もちろん、鈴木の表情には、普段の明るさの欠片もない。

「(栗山英樹監督には)本当にすいません、という感じで、話をしました。『まずしっかり直して』って形では言われましたね……はい」

 オープン戦が始まった2月25日の朝、鈴木はいつも通り、キャンプ施設のウォーミングアップ場で他の選手たちと身体を温め、本球場に移動した。青空の下でのキャッチボール、守備練習、そして打撃練習。異変が起きたのは間もなくだった。打撃練習を中断し、トレーナーを呼び寄せた。数分間の話し合い。会見で語られた当時の様子が、生々しい。
 
「(それまでにも)若干、身体の張りっていうのはあって、それはでも、野球やってれば必ず張りは出てくるので、大して気にしてなくて、ある程度ケアはしていたんですけど、脇腹をやったことがなかったので、どこまで危ないのかっていうのがちょっと分からなくて、その中でやってたら、いきなり(痛みが)来てしまったという感じだった」

 その打撃練習は最初から、いつもと少し違っていた。豪快なスイングが影を潜め、バットを振り切ることなく、コンタクトに集中しているような感じがした。

「(バットを)振った瞬間に痛みは感じて、そこで一回やめたんですけど、その時はアドレナリンとかでなんか、あまり分からなかった。(施設に)帰ってきて、ちょっと時間を置いたら、痛みが出てきたので……本当に初めてだったんで、痛みの具合がどれぐらいひどいのか、ちょっと分からなかった。もう少し軽症かなと思っていたんですけど、思った以上に良くなかったんで、ちょっとショックです」

 奇しくも、フロリダでキャンプ中のレイズの若きエース、タイラー・グラスノー投手がブルペンでの投球練習で似たような箇所を痛めたというニュースが飛び込んできた。彼は「グレード2」とはっきり診断されたため、「全治6~8週間」とネット記事の見出しになった。だが、怪我からの回復は個人差があるもの。トミー・ジョン手術からの復活過程で足首も手術した経験がある怪我だらけのピッチャーと単純に比較できない。

 事実、レイズのケビン・キャッシュ監督は地元メディアに「(怪我をした)選手たちの反応のは全員違うもの。10日ぐらいでもっと正しい判断ができるだろう」と話している。
 
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