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侍ジャパン

「僕は常に楽しいですよ」――大谷翔平の一言に見たダルビッシュ有との“共通項”。代表戦の新たな見方【侍ジャパン】

THE DIGEST編集部

2023.03.04

大谷(左)とダルビッシュ(右)。日本球界が誇る2人の天才が共に示したスタンスは代表戦の見方を変えうるものだった。(C)Getty Images

大谷(左)とダルビッシュ(右)。日本球界が誇る2人の天才が共に示したスタンスは代表戦の見方を変えうるものだった。(C)Getty Images

 年数にすれば14年ぶりのワールド・ベースボール・クラシック(WBC)制覇は、日本にとって最重要課題と言っていい。少なくともファンやメディアの間では、「史上最強」とも称される国内外の有力メンバーが集ったチームには、過去にないほど期待が集まっている。

 そうしたなかで選手たちから漂うのは、「とにかく野球を楽しもう」という空気だ。

 ともすれば、「ぬるいんじゃないか」「本気でやるべきなんじゃないか」と誤解されかねないが、もちろん選手たちは至って真剣だ。しかし、過去大会の侍ジャパンを取り巻いた「絶対に勝たなければいけない」という特有のピリついたムードはない。

 そうしたムードを生み出したのは、チーム最年長のダルビッシュ有(サンディエゴ・パドレス)だ。メジャーリーガー組で唯一、宮崎での春季合宿から参加したベテラン右腕は、自身よりも年下の選手たちと「友だち」のように積極的なコミュニケーションを図った。そしてオフの日には食事会を開くなど、年功序列の壁を取り除いた。

「やっぱり小さいときから楽しそうだから始めたことだと思うし、そこの原点を分かってほしいなと思います。とにかく楽しくやるのが野球だと思います」

 そう訴えたダルビッシュは、「お祭りじゃないですけど、本来はそういう風にあるべきだと思うんで。国別の力比べというか」とWBCへの向き合い方を説いてもいる。

 興味深かったのは、大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)もダルビッシュと同様に「楽しもう」という振る舞いが見えた点だ。3月3日からチームに本格合流を果たした二刀流戦士は、「まずは顔と名前をしっかり覚える」と笑顔で同僚たちとの対話を図った。そこにバリバリのメジャーリーガーが放つ威圧感などなく、むしろ野球少年に近い空気が漂っていた。

【画像】ついに侍Jに合流!大谷翔平&ヌートバーがロッカールームで対面
 そして、球界屈指の天才は、「楽しそうですね?」と聞いた取材陣にこう問い返してもいる。

「今ですか? 僕は常に楽しいですよ」

 WBCはひとつの負けが重くのしかかる厳しい大会だ。そのなかでメジャーでもトップクラスの実力を誇る二人が異なる形で示した「野球を楽しむ」という姿勢は、球界最高峰の舞台で活躍するうえでの共通項なのかもしれない。

 もちろん出る以上は彼らも勝ち負けにこだわるはずだ。だからといって、「負けたら日本に帰れない」「醜態をさらした」という過度なプレッシャーは微塵も感じていない。あくまで彼らには長丁場のレギュラーシーズンという“本当の戦い”が控えているのだ。

 考え方は人それぞれだ。しかし、「まずは野球を楽しもうじゃないか」というスタンスは、WBC、ひいては代表戦の新たな捉え方として実に興味深いものがある。

取材・文●羽澄凜太郎(THE DIGEST編集部)

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