プロ野球

異例の古巣・西武への“出戻り”。佐藤龍世が松井監督もうなる守備の“ユーティリティ”を最大発揮も「あそこで打たないと」

岩国誠

2023.03.09

犠牲フライで打点を挙げ、好守も見せた佐藤。しかし、最終回の打席で課題が見えた。写真:榎本誉士

 埼玉西武ライオンズは8日、今シーズン初のホームゲームを人工芝を新しく張り替えたベルーナドームで開催。マスク着用の元、解禁となった声援が響き渡る中、攻守で存在感を見せたのは、2021年に日本ハムへトレードされ、昨シーズンオフに再び西武へ戻ってきた佐藤龍世だった。

「ライオンズに戻ってきて、初のベルーナドームでの試合だったので、まずは1本(ヒットが)欲しかった」と話した佐藤龍。1点を追いかける7回裏、この回から登板した中日5番手・谷元から、連打を送りバントで1死二、三塁で打席が回ってきた。

「いい流れで打席が回ってきましたし、試合も均衡していたので、まずは1点。最低限のバッティングを狙っていきました。(外野を)越えてくれと思ったんですが、ちょっと上がりすぎたかな」

 ライオンズ名物「チャンステーマ」の前奏が流れ始める中、外角低めへの速球を逆らわずに右中間へ。犠牲フライには十分の飛距離で、チームは同点に追いつき、レフトスタンドから大きな歓声が沸き起こった。

「ライオンズファンの方々の熱い声出し応援、本当に励みになりますし、気合が入ります!」
 
 再びライオンズのユニフォームに袖を通してのベルーナドーム。気持ちが昂らないはずがない。しかし、プロ入り5年目を迎える26歳は、努めて冷静に打席に立っていた。

「ヒットになればいいんですけど、欲を持たずに。引っ張りに行って欲を出さない。谷元さんは横(変化)のピッチャーだったのと、セカンドも前に出ていたので、ちょっと詰まってポテンヒットくらいの気持ちでいきました」

 アピールするには絶好の場面。若い頃なら我欲を出して、強引に引っ張り、ただアウトを増やしていたかもしれない。時にはそういうガムシャラさも必要だろう。しかし佐藤龍は、1点を追いかける終盤であること、相手投手のタイプ、内野手の位置などをしっかり把握し、状況に適した打撃でチームに得点をもたらした。
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松井監督はポジションのユーティリティ性を高く評価