ヌートバーと大谷翔平。

　メジャーリーガーの２人の存在は、今の侍ジャパンにとって大きな戦力となっている。リードオフマンとポイントゲッターである彼らがチームにもたらす影響は計り知れない。今や欠かすことのできない名コンビだ。

　そして、もう一組、チームに欠かせないのが玄人好みのバッティング技術を見せる吉田正尚と近藤健介だ。

　吉田はチームトップの８打点を叩き出し、一方の近藤健介はとヌートバーと大谷をつなぐ潤滑油として11打数５安打６得点とこれ以上にない働きを見せている。

「相手の投手の話をしたり、コンディショニングの話をしたりしていますね」

【動画】絶好調！流れを変えた吉田の２点タイムリーをチェック 　ベンチで二人が話す姿があったので気になって聞いたところ、吉田はそう答えた。相当にレベルの高い話をしているのだろう。いずれにせよ「技術屋」バットマンの彼らは打線の多くを担っていると言える

　しかし、この二人、ミックスゾーンや取材での空気はまるで違う。

　吉田は取材では終始笑顔なのだが、本音が読み取れないタイプだ。

　おそらく対戦する投手たちも同じ気持ちになっているのかもしれない。読みが見えない打者と言えるのではないか。

　第１次ラウンド第３戦のチェコ戦では２安打３打点をマーク。試合後のミックスゾーンで吉田をつかまえたが、苦戦した。

「狙ってはないですね。運が良かったなと思います。たまたまです。いいところに落ちてくれました」

　吉田が放つヒットがことごとく相手守備網を嘲笑うかのように野手の間に飛んでいくから、そう聞いたのだが、吉田は多くを語ることはしなかった。

　昨今の野球において、大胆な守備シフトは当たり前のようになっている。

　第２戦の韓国も、大谷翔平や村上宗隆の際にはサードをショートにするくらいのポジションを守らせるなどの守備網を敷いてきたし、吉田正尚に対しても外野はやや深めのポジションを敷いていた。この日も外野は深く、やや右中間寄りに守っていた。

　３回裏の第２打席での逆転タイムリーはまさに守備網を切り裂いた。相手の外野がやや左中間方向に詰めていた位置関係を見透かしたかのように、１死一、二塁から左翼線に絶妙に落とした技ありの一打だった。

　韓国戦は３本の適時打を放ち５打点。チェコ戦では２安打３打点をマークし、もはや絶好調の域に達していると言える。４番の村上が本調子ではないだけに、とても重要な役割をこなしていると言える。

「打点はチームのみんなのおかげなんで、ありがたいですね。自分のしっかりとした強いスイングを心がけました。３回の適時打は詰まりましたが、なんとかいいところに飛んでくれました。得点圏に走者がいたら打点を挙げて、ランナーがいない時はチャンスメークというのは常日頃から意識していますので、その結果が出てよかったです」