投打ともにヨーロッパの雄を圧倒した。

　３月16日にワールド・ベースボール・クラシック（WBC）の準々決勝が東京ドームで行なわれ、日本代表がイタリア代表を９対３で撃破。同大会では史上唯一の５大会連続での４強入りを果たした。

　大会前から「史上最強」と言われた侍ジャパンが、野球列強国の矜持を見せつけた。３回裏に岡本和真（巨人）の３ランホームランなどで４点を先行すると、２点差に詰め寄られた５回裏には、この試合まで打率.143と不振に喘いできた村上宗隆（ヤクルト）の２点タイムリーなどで３点を加点。着実に差を広げていった。

　７回裏にも２点を追加した侍ジャパンは、投げても大谷翔平（ロサンゼルス・エンジェルス）、伊藤大海（日本ハム）、今永昇太（DeNA）、ダルビッシュ有（サンディエゴ・パドレス）、そして大勢（巨人）と継投。追いすがるイタリアを危なげなく退けた。

　試合後にイタリアを率いるマイク・ピアザ監督が「しんどい試合だった。彼らはマイアミに進むに値する」と脱帽したように、侍ジャパンは投打で圧倒した。そんな内容に米識者も感嘆の声を漏らす。米放送局『FOX Sports』のアナリストであるベン・バーランダー氏は日本の仕上がりを自身のツイッターで次のように論じた。
  「ワールド・ベースボール・クラシックにおいて、今の日本ほど完成度の高いチームはないだろう」

　アジアで披露された日本の強さを強調したバーランダー氏は、連日のようにアメリカの深夜に起き、各国のWBCの盛り上がりを発信している識者でもある。そんな彼は現地３月15日のドミニカ共和国戦でプエルトリコの守護神エドウィン・ディアスが自力で立てないほどの大けがを負ったことから一部で噴出した大会批判について異論を唱えている。

「とんでもないコメントをする前に思い出してほしい。世界最高の選手たちがWBCでキャリアを謳歌し、国を代表することが自分のキャリアのハイライトだと言っているんだ。それなのに、『意味がない大会』と決めつけるのは一体誰？」

　怒涛の５連勝で大会屈指の総合力を見せつけてきた侍ジャパン。彼らを後押ししてきたファンを含めた日本の野球熱は、WBCの価値を高める形となっているのもかもしれない。

構成●THE DIGEST編集部

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