第５回ワールド・ベースボール・クラシック（WBC）で３大会ぶり３度目の優勝を果たした日本代表。その立役者となったのは、準決勝のメキシコ代表戦でサヨナラの２点タイムリーを、決勝のアメリカ代表戦ではソロアーチを放った、"勝負強さ"を発揮した村上宗隆（ヤクルト）だろう。

　周知の通り村上は１次ラウンドでは打率.143（14打数２安打）、ノーアーチ、７三振と不振に陥っていた。強化試合から侍ジャパンの「４番」を担ってきたものの、準々決勝のイタリア戦からは「５番」に降格していた。

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　３月23日にテレビ朝日系列で放送された「報道ステーション」で、侍ジャパンを率いた栗山英樹監督は、「僕はやっぱり村上選手、ムネが日本の４番になると信じている。強い４番を確実に作っておきたいっていう皆の思いがありました。ただ、なかなか状態が上がらない」と23歳への想いを明かし、次のようにアプローチをしていたという。

「練習試合の時には１回、監督室に呼んで話をしました。大会が始まってからは電話で。アメリカ行ってから２日間とも、僕はメールを入れました。もちろん、打順を外したり、４番に戻さないことについて。今回に関しては、僕の思っていることをちゃんと伝えるべきだと思ったので。色んなやり方で伝えてきました。あれだけのバッターなんで」
  　４対５と１点ビハインドで迎えたメキシコ戦の９回について栗山監督は、「前の回からノーアウト一、二塁で、村上選手に回るのは分かっていたので、『バントの用意をしてね』ってコーチには伝えて、バントの選手も準備していた」と振り返った。

　それでも「やっぱり勝つなら村上だ。ムネは打つんだ」と考え直し、「外野に大きなフライが上がれば、周東選手を置いておけば、一、三塁になって、盗塁で二、三塁にもなれる」と狙いを話す。

　最後には「僕は、本当に打つと思っていた。これだけ苦しんだら、絶対大事なところで打てると思っていた」と若き主砲に"信頼"を寄せたという。

　昨シーズン"三冠王"をも手にした村上。世界一に輝いた男はさらに強くなったに違いない。

構成●THE DIGEST編集部

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