第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は、日本代表がアメリカ代表を3対2で下し、14年ぶり3度目の世界一に輝いた。日本列島を歓喜の渦に巻き込んだ野球の世界一決定戦は、最高のフィナーレで幕を閉じた。
大会が終わって、まもなく1週間。侍ジャパンの代表メンバーは優勝の余韻も束の間、それぞれの球団に戻り、新シーズン開幕を迎えようとしている。
そんななか、セ・リーグ3連覇と日本一奪還を狙うヤクルトの中村悠平がWBC決勝戦で世界一を決めた大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)の9回のピッチングについて真相を語った。
大谷と、あの試合で初めてバッテリーを組んだ同選手は26日に放送したフジテレビのスポーツニュース番組『S-PARK』の取材に対し、投球前に長く話し込んでいた場面について質問され、「球種のサインの打ち合わせをしていた」と明かした。
打ち合わせの内容について中村は「基本的に大谷選手が『僕は真っすぐとスライダーとスプリットで組み立ててください』ということだった」と言い、チームメイトのマイク・トラウト(エンジェルス)まで回るアメリカの強力打線相手に、球種を3つに限定していたと明かした。
9回2死ランナーなし。ホームランが出れば同点となる痺れる場面でトラウトを迎えた。「9回の先頭バッターの初球に首を振ってスライダーを投げたんですよ。だから、意外とスライダーに自信があるんだなと思った」と言い、この回の先頭打者ジェフ・マクニール(ニューヨーク・メッツ)に投じた初球140キロのスライダーが世界一の布石だった。
中村は「スライダーが一番ベストな選択なんじゃないかと自分の中で考えて選択したので、結果的にその球が素晴らしいベストピッチになって三振になってくれたので良かったです」と世界一を懸けた舞台で、初めて実現したスーパースター同士の対決を振り返った。
加えて、「翔平も言ってましたけど」と前置きしたうえで、「『(メジャーリーガーへの)憧れを捨てる』っていうのはすごく大事。ちゃんと攻めればあれぐらいの大打者でも抑えられるんだなと、すごく勉強になりました」と、大谷が試合前の円陣でチームメイトに開口一番「憧れを捨てましょう」と語った名エピソードを回顧した。
珠玉の対戦と表された大谷vsトラウト。あの打席に秘められた真相が、また一つ明かされた。
構成●THE DIGEST編集部
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