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藤浪晋太郎が“進化”を見せた92球。初勝利はお預けもメッツ打線を支配する投球に米記者も唸る「これぞ望んでいた姿だ」

THE DIGEST編集部

2023.04.16

ジャッキー・ロビンソンデーだったこの日は背番号42を背負った藤浪。そんな栄えあるマウンドで彼は今後に期待を持てる投球を披露した。(C)Getty Images

 これまでとは明らかに変わった姿がそこにはあった。

 現地4月15日、オークランド・アスレティックスの藤浪晋太郎は、本拠地で行なわれたニューヨーク・メッツ戦に先発登板。自身メジャー最長の6回0/3(92球)を投げ、被安打4、3失点、5奪三振と試合を作った。

 結果的にチームは2対3で接戦に敗戦。1966年以来ワーストとなる開幕15試合で12敗目を喫したが、マーク・コッツェイ監督が「大きな前進だ」と評したように、藤浪の強気なピッチングは数少ないポジティブな要素だった。

 過去2登板は勝利投手の権利を得る5回よりも前に降板。いずれも相手打線の2巡目に捉えられる苦しい内容で、計6回2/3で、7四死球も与え、防御率は17.55と躓いた。この試合でも2対0とリードしていた4回1死の場面で2打席目を迎えたメッツの主砲ピート・アロンソに自身メジャー初の被弾を喫し、1点差に迫られた。

 がしかし、このメッツ戦の藤浪はそこから動じなかった。
 
 続くジェフ・マクニールをスプリットでファーストゴロ、マーク・カナは96.3マイル(約154.9キロ)の4シームでセンターフライに抑え、確実に後続を断つと、その後も危なげないピッチングで快調に飛ばしていった。

 2対1とした7回に、先頭のカナに同点ソロを打たれ、続くダニエル・ボーゲルバックに四球を出した時点で交代を告げられた藤浪。2番手のトレバー・メイが残した走者を還してチームは逆転を許し、初勝利はお預けとなった。それでもスプリットと4シームを積極果敢にストライクゾーンに投げ込んで、制球を乱して崩壊せずに勝負できた点は大いに評価できる。

 自身メジャー初のQS(クオリティースタートの略)を達成するなど、先発投手としての仕事を全うした藤浪には現地記者の評価も高まった。

 地元ラジオ局『KCBS Radio』のジョー・ヒューズ記者は「これぞチームが望んでいた姿だ。少し引っ張り過ぎたかもしれないが、特にフォアボールを減らしたのはポジティブな要素であり、数字以上にいいピッチングを見せてくれた」と絶賛。また、地元紙『The San Francisco Chronicle』のアスレティックス番を務めるマット・カワハラ記者も「フジナミは、速球とスプリッターを巧みに駆使した。そして雪辱を果たし、7回まで投げ抜いた」と冷静なマウンドさばきを称えた。

 強敵を相手に大きく改善した姿を見せた。この短期間での成長を継続できるかがメジャー定着のカギになる。はたして、藤浪はさらに安定した姿を見せられるだろうか。

構成●THE DIGEST編集部

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【動画】メッツ打線を支配した藤浪の投球