「僕から一個だけ。憧れるのをやめましょう」
これは去る3月21日に敵地マイアミで行なわれたアメリカ代表とのワールド・ベースボール・クラシック(WBC)決勝を前に、ロッカールームで日本代表の大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)が口にした言葉だ。
メジャーリーガーたちの恐ろしさを熟知する28歳は、さらにこう続けた。
「ファーストにゴールドシュミットがいたり、センターを見ればマイク・トラウトがいるし、外野にはムーキー・ベッツがいたり、野球をやっていたら誰しも聞いたことがあるような選手たちがいると思う。でも憧れてしまっては超えられないので、僕らは今日超えるために、トップになるために来たので。今日一日だけは彼らへの憧れを捨てて、勝つことだけ考えていきましょう」
このアメリカ戦で1イニングを2奪三振でピシャリと抑えた20歳の高橋宏斗(中日)の言葉を借りれば、この時の侍ジャパンは「あの一言がなかったら気持ちで負けたまま」だった。ゆえに大一番を目前にしたナインを引き締めた大谷のスピーチは、精神的に大きく作用し、世界一奪還を語るうえで欠かせないワンシーンとなったと言える。
実際、彼の言葉を耳にし、刺激された侍ジャパンメンバーは少なくない。ラーズ・ヌートバー(セントルイス・カーディナルス)もそのひとりだった。
米メディア『Jomboy Media』のクリス・ローズ氏がMCを務める人気ポッドキャスト番組「The Chris Rose Rotation」に出演したヌートバーは、試合前のナインの雰囲気について「あえて話題にしなかったんだけど、少し緩い感じがあったんだ。『アメリカの打線はえげつないから、とりあえずやってみて考えよう』って感じでね。そんな時にショウヘイがあのスピーチをしたんだ」と振り返った。
「ハッとした。僕らは、彼ら(アメリカ代表のメジャーリーガー)を、いつのまにか尊敬の眼差しで見ていることを気づかされたよ。ハッキリ言ってショウヘイは彼ら(メジャーリーガー)より上手い。簡単に言うと、多くの選手に『ショウヘイが言ってるんだから、俺たちにもやれるに決まっている』という自信を与えてくれたと思う」
伝説となった名スピーチの舞台裏を明かしたヌートバー。ともすれば、緩慢な空気を引き締めた大谷を次のようにも評している。
「ショウヘイは常に謙虚な男だ。だけど、誤解してはいけないんだ。時にはチームや仲間に喝を入れたり、競争心をかき立てることもできるんだ。内なる闘争心を持っているんだよ。『俺はお前よりいい選手だ』という感じで自信を持っている。それって簡単じゃないし、とてつもないことだと僕は思う」
侍ジャパンにとって14年ぶりの3度目のWBC制覇。この栄光の立役者は、やはり大谷だったと言っていいだろう。
構成●THE DIGEST編集部
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メジャーリーガーたちの恐ろしさを熟知する28歳は、さらにこう続けた。
「ファーストにゴールドシュミットがいたり、センターを見ればマイク・トラウトがいるし、外野にはムーキー・ベッツがいたり、野球をやっていたら誰しも聞いたことがあるような選手たちがいると思う。でも憧れてしまっては超えられないので、僕らは今日超えるために、トップになるために来たので。今日一日だけは彼らへの憧れを捨てて、勝つことだけ考えていきましょう」
このアメリカ戦で1イニングを2奪三振でピシャリと抑えた20歳の高橋宏斗(中日)の言葉を借りれば、この時の侍ジャパンは「あの一言がなかったら気持ちで負けたまま」だった。ゆえに大一番を目前にしたナインを引き締めた大谷のスピーチは、精神的に大きく作用し、世界一奪還を語るうえで欠かせないワンシーンとなったと言える。
実際、彼の言葉を耳にし、刺激された侍ジャパンメンバーは少なくない。ラーズ・ヌートバー(セントルイス・カーディナルス)もそのひとりだった。
米メディア『Jomboy Media』のクリス・ローズ氏がMCを務める人気ポッドキャスト番組「The Chris Rose Rotation」に出演したヌートバーは、試合前のナインの雰囲気について「あえて話題にしなかったんだけど、少し緩い感じがあったんだ。『アメリカの打線はえげつないから、とりあえずやってみて考えよう』って感じでね。そんな時にショウヘイがあのスピーチをしたんだ」と振り返った。
「ハッとした。僕らは、彼ら(アメリカ代表のメジャーリーガー)を、いつのまにか尊敬の眼差しで見ていることを気づかされたよ。ハッキリ言ってショウヘイは彼ら(メジャーリーガー)より上手い。簡単に言うと、多くの選手に『ショウヘイが言ってるんだから、俺たちにもやれるに決まっている』という自信を与えてくれたと思う」
伝説となった名スピーチの舞台裏を明かしたヌートバー。ともすれば、緩慢な空気を引き締めた大谷を次のようにも評している。
「ショウヘイは常に謙虚な男だ。だけど、誤解してはいけないんだ。時にはチームや仲間に喝を入れたり、競争心をかき立てることもできるんだ。内なる闘争心を持っているんだよ。『俺はお前よりいい選手だ』という感じで自信を持っている。それって簡単じゃないし、とてつもないことだと僕は思う」
侍ジャパンにとって14年ぶりの3度目のWBC制覇。この栄光の立役者は、やはり大谷だったと言っていいだろう。
構成●THE DIGEST編集部
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