４月25日（現地）、レッドソックスは内野手のチャン・ユーチェンを15日間の故障者リスト（ＩＬ）に入れたことを発表した。チャンは24日のオリオールズ戦で空振りした際に左手を負傷して途中退場。検査の結果、左手有鈎骨の骨折と診断された。

　　今季でメジャー５年目を迎えた27歳はここまで17試合で打率.136ながら３本塁打、８打点とパワーを発揮。ショートのレギュラーをつかみかけていただけに、レッドソックスにとっても、そしてチェンにとっても、あまりにも痛い故障離脱となった。

　チャンと言えば、３月に行われたワールド・ベースボール・クラシック（WBC）ではチャイニーズ・タイペイ代表として大活躍。ホームの台中で行われたプールＡ４試合で打率.438、２本塁打、OPS1.438とバットでチームで牽引し、プールMVPにも選出されていた。

　チャイニーズ・タイペイ代表も、オランダ、イタリアを撃破するなど超激戦のプールＡで大健闘。惜しくも準々決勝進出は逃したものの、最終キューバ戦終了後に涙を流すチャンの姿は多くのファンの感動を呼んだ。 　WBCでの活躍の勢いに乗り、レッドソックスに戻った後もロースター争いに生き残って開幕メジャー入り。故障者が続出するチーム状況でめぐってきたチャンスを生かし、本人も「チームが毎日、出場機会を与えてくれて本当にうれしい」と語っていただけに、今回の故障の悔しさは察するに余りある。
　地元紙『ボストン・グローブ』のピーター・エイブラハム記者も、チャンがショートで好守を見せていたこと、最近、奥さんの妊娠が判明していたことなどを挙げて「気の毒だ」と気遣っていた。

　昨年だけで４球団に在籍するなど、これまでも苦難の道を歩んできたチャン。今回の災難も、不屈の闘志で乗り越えてほしい。

構成●SLUGGER編集部