今季から指揮を執る西武・松井稼頭央監督がほくそ笑んだのは、記者からある質問が飛んだ時だった。
5月3日、日本ハム戦後のことだった。
この日は先発した平良海馬が7回2失点の好投で、リーグトップタイの3勝目を挙げた。西武は平良だけでなく髙橋光成と今井達也も3勝で並んでおり、いずれもQS率75%以上と内容も充実しているのだ。
「3人の誰がエースかわからないくらいですね」と問いかけると、松井監督はニヤッとした。
「本当にいいですよね。全員がね、切磋琢磨して。当然チームとして活動しているんですけど、良きライバルとして、良き仲間として競い合ってくれてるなって思います」
2019年までエースだった菊池雄星(現ブルージェイズ)が海を渡ってから、西武のエースの座は空位になっていた。
若い投手はたくさんいたが、どの選手も経験が満たなかった。今季3年連続の開幕投手となった髙橋をはじめ、今井や松本航らが、これまでずっとその座を争ってきた。
中でも髙橋が一歩リードした状態だったが、今井は今季、ストレートのスピードや質で劇的な成長を見せ、先発に転向したばかりの平良も、データを駆使して進化した。3人のピッチングには、いずれも「エースの存在感」がある。
「プロに入って2~3年目の頃は打線に打ってもらっていただけでしたけど、そこから雄星さんがいなくなって、チームを引っ張っていかなくてはいけない立場という自覚はあります」
そう語ったのは今井だ。エースに対する強烈なこだわりがあるわけではないが、憧れはある。エース像に関しても「勝敗じゃない」と、こう続けた。
「大事な試合であったり、この試合は絶対勝ちたいという試合でチームみんなが誰を先発させるか、真っ先に頭に浮かんでくる選手だと思います。時には野手のエラーとか、ミスでの出塁があると思うんですけど、そういう時に(ピッチングで)カバーできるかが大事で、そういうのが選手からの信頼になってくるのかなと思います」
チームの勝敗は投手だけがコントロールできるものではない。菊池がかつて「投手一人で勝つことはできないが、投手のせいで負けることはある」と語っていたが、今井の思想もその境地にある。今井のエース像は、「背中で語る」ことなのではないか。
5月3日、日本ハム戦後のことだった。
この日は先発した平良海馬が7回2失点の好投で、リーグトップタイの3勝目を挙げた。西武は平良だけでなく髙橋光成と今井達也も3勝で並んでおり、いずれもQS率75%以上と内容も充実しているのだ。
「3人の誰がエースかわからないくらいですね」と問いかけると、松井監督はニヤッとした。
「本当にいいですよね。全員がね、切磋琢磨して。当然チームとして活動しているんですけど、良きライバルとして、良き仲間として競い合ってくれてるなって思います」
2019年までエースだった菊池雄星(現ブルージェイズ)が海を渡ってから、西武のエースの座は空位になっていた。
若い投手はたくさんいたが、どの選手も経験が満たなかった。今季3年連続の開幕投手となった髙橋をはじめ、今井や松本航らが、これまでずっとその座を争ってきた。
中でも髙橋が一歩リードした状態だったが、今井は今季、ストレートのスピードや質で劇的な成長を見せ、先発に転向したばかりの平良も、データを駆使して進化した。3人のピッチングには、いずれも「エースの存在感」がある。
「プロに入って2~3年目の頃は打線に打ってもらっていただけでしたけど、そこから雄星さんがいなくなって、チームを引っ張っていかなくてはいけない立場という自覚はあります」
そう語ったのは今井だ。エースに対する強烈なこだわりがあるわけではないが、憧れはある。エース像に関しても「勝敗じゃない」と、こう続けた。
「大事な試合であったり、この試合は絶対勝ちたいという試合でチームみんなが誰を先発させるか、真っ先に頭に浮かんでくる選手だと思います。時には野手のエラーとか、ミスでの出塁があると思うんですけど、そういう時に(ピッチングで)カバーできるかが大事で、そういうのが選手からの信頼になってくるのかなと思います」
チームの勝敗は投手だけがコントロールできるものではない。菊池がかつて「投手一人で勝つことはできないが、投手のせいで負けることはある」と語っていたが、今井の思想もその境地にある。今井のエース像は、「背中で語る」ことなのではないか。