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エンジェルスの“最速170キロ男”ジョイスがメジャー昇格!しかし、あまりに粗削りな原石の抜擢はさすがに時期尚早か<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2023.05.29

今季は2Aで投げていたジョイス。制球難という課題を抱えているが、初のメジャーで果たして通用するだろうか。(C)Getty Images

 危機に瀕しているブルペンの救世主となるだろうか。エンジェルスはセットアップのマット・ムーアが右脇腹痛でILに入り、代わって2Aからベン・ジョイスを昇格させた。

 ジョイスと言えば、テネシー大時代の昨年5月、カレッジ史上最速の105.5マイル(約169.8キロ)を叩き出して大きな話題を集めた豪腕。直後のドラフトでエンジェルスから3巡目指名され、8月にはマイナーで4球続けて100マイル以上を計時したことでも話題を集めた。

 もっとも、26日に同じく2Aからメジャーデビューを果たしたサム・バックマン同様、このタイミングでの昇格は時期尚早の感は否めない。ジョイスは今季、ここまで2Aで14試合に登板。15.2投球回で24三振を奪い、9イニング平均に換算すると13.79とドクターKぶりを発揮している。その一方で与四球は13、与死球も5を数え、1イニングに1個以上の割合で四死球を与えている計算になる。
 ペリー・ミナシアンGMはプロスペクトの昇格に関してはかなり積極的で、昨年はチェイス・シルセス、そして今季はザック・ネトをドラフト指名から1年未満でメジャーに昇格させている。ジョイスも含め、この2年で3人というのは異例の多さだ。

 しかも、ジョイスは他2人と比べてもかなりの素材先行型。言わば"ダイヤの原石"に限りなく近い状態で、話題性はともかく実際に戦力になるかというと、不安も大きい。

 ただでさえ、ブルペンが手薄な状況で、セットアップとして好投を続けていたムーアの離脱はあまりにも痛い。この状況で、粗削りなダイヤの原石に苦境打開を託さざるを得ないということ事実が、エンジェルスの台所事情の苦しさを端的に象徴していると言えるかもしれない。

構成●SLUGGER編集部
 
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