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吉田正尚は「新人王有力候補」ではない?総合指標WARで浮かび上がるライバルたちとの大きな差<SLUGGER>

SLUGGER編集部

2023.06.15

ア・リーグ新人王候補の一人と目されている吉田。だが、データをよく見てみると……?(C)Getty Images

ア・リーグ新人王候補の一人と目されている吉田。だが、データをよく見てみると……?(C)Getty Images

 ア・リーグの新人王レースでは、吉田正尚(レッドソックス)が有力候補の一人に挙げられている。日本の某媒体などは「新人王当確」とまで謡っているが、本当にそうなのだろうか? 

 リーグ最底辺の選手と比べてどれだけ勝利に貢献したかを示す総合指標WAR(Baseball Reference版)のア・リーグ新人トップ10を見ると、以下のようになる。

1位 ガナー・ヘンダーソン(オリオールズ) 2.5
2位 ハンター・ブラウン(アストロズ) 2.2
3位 ジョシュ・ヤン(レンジャーズ) 2.0
4位 ライアン・ノダ(アスレティックス) 1.9
5位 ザック・ネト(エンジェルス) 1.8
6位 ウィル・ブレナン(ガーディアンズ) 1.4
7位 ホゼ・カバエロ(マリナーズ) 1.4
8位 イェニアー・カノー(オリオールズ) 1.2
9位 アンソニー・ボルピー(ヤンキース) 1.0
10位 ローガン・アレン(ガーディアンズ) 1.0 
※6月14日時点

 意外にも、吉田はトップ10にも入っていない(0.8で13位)。なぜ、このような事態になっているのだろうか。

 WARは打撃・走塁・守備それぞれにおいて、どれだけ多く得点を生み出しているか(あるいは失点を阻止しているか)を基に計算される。吉田の場合、ネックとなっているのは走塁と守備、特に後者だ。守備でどれだけ失点を防いだかを示すDRSは-5で、左翼手ではMLBワースト3位(200イニング以上)と低迷している。

 また、打撃での貢献度も実はずば抜けて高いわけではない。打率.297、出塁率.374はいずれもリーグ7位だが、本塁打は7本にとどまり、OPSは.835。本拠地球場の特性も加味しながらリーグ平均からの傑出度を示すOPS+では124で、WARリーグ1位のヘンダーソン(130)も下回る。つまり、バッティングだけ見てもヘンダーソンに遅れを取っていることになる。
 
 6月に入って5本塁打と絶好調のヘンダーソンは、走塁での貢献度も高い。また、守備でも三塁での44試合でDRS-1、遊撃も11試合で-1と平均レベルは確保している。さらに、三塁と遊撃はレフトよりも守備の負担が大きい分だけ、WARを算出する際にもプラスの補正がかかる。 つまり、ヘンダーソンは打撃・走塁・守備あらゆる面で吉田を上回っているのだ。

 WARだけで新人王が決まるわけではないにしても、トップ10圏外の選手が受賞するのはかなりハードルが高い。吉田が本当に新人王を獲得するためには、ここから他のライバルたちを圧倒する打撃成績を残さなければならないだろう。

構成●SLUGGER編集部
 

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