プロ野球

前半戦で自己最速7勝を挙げたオリックス山崎福也。念願の2ケタ勝利へ向けて自身最大の課題を克服できるか【オリ熱コラム2023】

どら増田

2023.07.23

プロ9年目にして初のオールスター出場を果たした山崎福。この勢いに乗って念願の2ケタ勝利まで到達できるか。写真:どら増田

 オリックスの左腕・山崎福也がオールスター第2戦に登板し、スローカーブを中心とした組み立てで1回を無失点に抑えて、球宴デビューを終えた。ファンからは打撃が得意な山崎福に対して「代打・福也」を期待する声も多く、ツイッターでトレンド入りまで果たしたが、これはさすがに実現しなかった。

 今年は前半戦終了時点で自己最多タイの7勝をマーク。キャリアベスト更新はもちろん、ルーキー時代から目標としていた2ケタ勝利も射程圏内に入ってきた。交流戦もあった6月は4戦4勝の大活躍で初の月間MVPも獲得している。

 月間MVP受賞について山崎福は「ちょっと意識はしました。でも、どうなんだろうなという感じではあったので何とか良かったです。成績を残した人しか取れない賞というイメージでしたので、獲りたいなという気持ちはあった」と語ると「このままの勢いでオールスター、後半戦に行けたらいいなと思うけど、どこかしらで絶対に壁があると思うので、そこをどう乗り越えていくかをしっかり頭に入れてやっていこうと思う」と続けた。自身最大の課題でもある「好調を持続できないこと」を頭に入れながら後半戦に挑む考えのようだ。
 今年は特にチェンジアップのキレが素晴らしいが、「投げ方は特に変えてないけど、配球面が多少変わっている面があるので、バッターの反応がいいのかなと言うのはある」とのこと。また、勝ち星を積み上げてこれたのは「自分自身の投球フォームの確認もするけど、若月(健矢)の配球もあったり、見方が打ってもくれているし、そういうところが要因かな」と、女房役のリードも含めたチームの援護に助けられた上での成績であることを強調していた。

「年間で安定した成績を残したいというのはあるので、どの試合も変わらない気持ち」でマウンドに立っているという山崎福。これから暑さが厳しい季節を迎えるが、「どうだろう。(打席に立てる)6月が一番だけど(笑)、夏は好きですね」と笑顔。昨年、中嶋聡監督が話していた「ポカ」さえ出さなければ15勝前後も狙えるはずで、最後まで最多勝争いに加わり、三連覇を果たしたうえで、日本シリーズでは再び「バッター福也」を見せてもらいたい。

取材・文●どら増田

【著者プロフィール】
どらますだ/1973年生まれ。プロ野球では主にオリックスを取材し、週刊ベースボールの他、数々のウェブ媒体でも執筆している。書籍『ベースボールサミット 第9回 特集オリックス・バファローズ』(カンゼン)ではメインライターを務めた。プロレス、格闘技も取材しており、山本由伸と那須川天心の"神童"対談を実現させたことも。