9月に入り、シーズンもいよいよ山場。優勝争いもさることながら、タイトル争いの行方も気になるところだ。残り1ヵ月、各タイトル争いでカギを握る選手たちを紹介しよう。
■宮城大弥 (オリックス)
近年は目標を聞かれる度に口にしていた、大エースからの「タイトル奪取」を視界に捉える。今季の勝率.692はチームメイトの山本由伸(.706)に次ぐリーグ2位で、最高勝率の受賞条件である13勝まであと4つの白星を上積めば、最多勝獲得も同時に見えてくる。6月11日のDeNA戦ではいずれも自己ワーストの3被弾&8失点を喫したが、WBCでダルビッシュ有(パドレス)から学んだフォークを持ち球で最も被打率の低い武器に変え、リーグ最多3完封を自己ベストの防御率2.49につなげている。来季からのメジャー移籍も噂される球界最高の投手が過去2シーズンとも達成した「投手五冠」を崩し、新たなエース就任へのステップとできるか。
■ポランコ(ロッテ)
ダークホースが夏場に本塁打量産モードへ突入し、タイトル獲得候補へ躍り出た。7月16日と8月23日には3ホーマーずつを叩き込み、シーズン2度は球団史上4人目の固め打ち。8月は8本塁打を記録して、20本目の節目にたどり着いた。巨人から加入した今季は序盤から打撃不振が続いてスタメンを外される時期も経験したが、2本差で単独トップの浅村栄斗(楽天)を含めたライバル3人と比較して、100以上も少ない打席でタイトル争いに加わっている。打撃の波が大きく、左投手には打率.196、3本塁打と苦戦しているが、9月以降も好調を維持できれば、パ・リーグでは6年ぶりの助っ人本塁打王誕生が近づくだろう。
■種市篤暉(ロッテ)
かつてのエース候補が復活を遂げ、質実ともに自己最高のシーズンを過ごしている。2020年9月にトミー・ジョン手術を受けてから、ほとんど稼働できないシーズンが続いたが、今季は故障で戦列を離れたチームメイトの佐々木朗希をかわして、136奪三振と奪三振率10.58でリーグトップに立つ。8月25日のオリックス戦では自身初の10勝目を手にし、前年0勝からの2ケタ勝利は球団54年ぶり。最多勝のタイトルも、リーグ1位の山本由伸(オリックス)に2差と射程圏内だ。ただ、奪三振では逆に僅差で山本に追われる立場でもある。互いのタイトルがかかったシーズン終盤の登板は、CS前哨戦としても注目だ。 ■近藤健介(ソフトバンク)
複数の打撃部門でトップを争い、昨オフに結んだ7年総額50億円の大型契約が正当であることを証明しようとしている。ホームランが出やすい新本拠地仕様か、例年以上にフライ打球増で自己最多を大きく更新する21本塁打を放ち、71打点は2差でリーグトップ。チームメイトの柳田悠岐ともしのぎを削りながら、打率.303も含めた3部門いずれも3位以内に入り、これまで縁がなく「全然意識しない」と語る打撃三冠を一気にすべて手にするチャンスがある。もちろん、85四球と四球率17.5%はダントツと最大の持ち味も健在で、出塁率はパで唯一4割を超え(.428)、3度目のタイトル獲得は濃厚だ。OPS.967や得点圏打率.385も1位で「リーグ最高の打者」と断言する根拠は枚挙に暇がない。
■万波中正(日本ハム)
プロ5年目の23歳が、打撃タイトル獲得経験者が上位に座るホームラン王争いに参戦して新風を吹かせている。リーグ3位の20本塁打を放つなど、高校時代に横浜スタジアムのバックスクリーンへ放り込んだパワーを完全開花させながら、三振率22.5%は昨季から10%以上も改善するなど粗さも解消され、前年に新庄剛志監督から「チャンスをつかめなかったとしか判断できない」と合格点に達しなかった打率でも、リーグ6位の.272を記録している。オールスターでは2試合連続で一発を放ち、「獲るつもりでいた」MVPを獲得するなど、2日間で賞金500万円を手にして、指揮官の現役時代ばりのスター性もアピールした。エスコンフィールド開場元年に、打撃タイトルを持ち帰られるか。
文●藤原彬
著者プロフィール
ふじわら・あきら/1984年生まれ。『SLUGGER』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。ツイッターIDは@Struggler_AKIRA。
■宮城大弥 (オリックス)
近年は目標を聞かれる度に口にしていた、大エースからの「タイトル奪取」を視界に捉える。今季の勝率.692はチームメイトの山本由伸(.706)に次ぐリーグ2位で、最高勝率の受賞条件である13勝まであと4つの白星を上積めば、最多勝獲得も同時に見えてくる。6月11日のDeNA戦ではいずれも自己ワーストの3被弾&8失点を喫したが、WBCでダルビッシュ有(パドレス)から学んだフォークを持ち球で最も被打率の低い武器に変え、リーグ最多3完封を自己ベストの防御率2.49につなげている。来季からのメジャー移籍も噂される球界最高の投手が過去2シーズンとも達成した「投手五冠」を崩し、新たなエース就任へのステップとできるか。
■ポランコ(ロッテ)
ダークホースが夏場に本塁打量産モードへ突入し、タイトル獲得候補へ躍り出た。7月16日と8月23日には3ホーマーずつを叩き込み、シーズン2度は球団史上4人目の固め打ち。8月は8本塁打を記録して、20本目の節目にたどり着いた。巨人から加入した今季は序盤から打撃不振が続いてスタメンを外される時期も経験したが、2本差で単独トップの浅村栄斗(楽天)を含めたライバル3人と比較して、100以上も少ない打席でタイトル争いに加わっている。打撃の波が大きく、左投手には打率.196、3本塁打と苦戦しているが、9月以降も好調を維持できれば、パ・リーグでは6年ぶりの助っ人本塁打王誕生が近づくだろう。
■種市篤暉(ロッテ)
かつてのエース候補が復活を遂げ、質実ともに自己最高のシーズンを過ごしている。2020年9月にトミー・ジョン手術を受けてから、ほとんど稼働できないシーズンが続いたが、今季は故障で戦列を離れたチームメイトの佐々木朗希をかわして、136奪三振と奪三振率10.58でリーグトップに立つ。8月25日のオリックス戦では自身初の10勝目を手にし、前年0勝からの2ケタ勝利は球団54年ぶり。最多勝のタイトルも、リーグ1位の山本由伸(オリックス)に2差と射程圏内だ。ただ、奪三振では逆に僅差で山本に追われる立場でもある。互いのタイトルがかかったシーズン終盤の登板は、CS前哨戦としても注目だ。 ■近藤健介(ソフトバンク)
複数の打撃部門でトップを争い、昨オフに結んだ7年総額50億円の大型契約が正当であることを証明しようとしている。ホームランが出やすい新本拠地仕様か、例年以上にフライ打球増で自己最多を大きく更新する21本塁打を放ち、71打点は2差でリーグトップ。チームメイトの柳田悠岐ともしのぎを削りながら、打率.303も含めた3部門いずれも3位以内に入り、これまで縁がなく「全然意識しない」と語る打撃三冠を一気にすべて手にするチャンスがある。もちろん、85四球と四球率17.5%はダントツと最大の持ち味も健在で、出塁率はパで唯一4割を超え(.428)、3度目のタイトル獲得は濃厚だ。OPS.967や得点圏打率.385も1位で「リーグ最高の打者」と断言する根拠は枚挙に暇がない。
■万波中正(日本ハム)
プロ5年目の23歳が、打撃タイトル獲得経験者が上位に座るホームラン王争いに参戦して新風を吹かせている。リーグ3位の20本塁打を放つなど、高校時代に横浜スタジアムのバックスクリーンへ放り込んだパワーを完全開花させながら、三振率22.5%は昨季から10%以上も改善するなど粗さも解消され、前年に新庄剛志監督から「チャンスをつかめなかったとしか判断できない」と合格点に達しなかった打率でも、リーグ6位の.272を記録している。オールスターでは2試合連続で一発を放ち、「獲るつもりでいた」MVPを獲得するなど、2日間で賞金500万円を手にして、指揮官の現役時代ばりのスター性もアピールした。エスコンフィールド開場元年に、打撃タイトルを持ち帰られるか。
文●藤原彬
著者プロフィール
ふじわら・あきら/1984年生まれ。『SLUGGER』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。ツイッターIDは@Struggler_AKIRA。
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