「今季はもう投げない」。サンディエゴ・パドレスのダルビッシュ有が現地９月12日、右肘炎症からの復帰を断念し、今季終了を現地メディアに明言した。

　敵地でのロサンゼルス・ドジャース戦の試合前、ダルビッシュが取材に応じ、右肘の現状について説明した。パドレスの地元ラジオ局『97.3 The Fan』は、その一部始終を公式X（旧ツイッター）に投稿している。

　８月25日のミルウォーキー・ブルワーズ戦後に負傷者リスト（IL）入りしたダルビッシュは炎症の回復に努めていたが思うようにいかず、「もう今シーズンは、ここでやめた方がいいのではないか」と球団と相談して決めたという。よって、あと４勝に迫っていた日米通算200勝は来季に持ち越しとなった。

　ダルビッシュの今季終了のニュースは米メディアも一斉に反応している。米スポーツ専門局『ESPN』は「パドレスのユウ・ダルビッシュが残りのシーズンを全休」と報道。「パドレスにとって、本当に残念なニュースだ。ダルビッシュが今季のメジャーリーグのマウンドに戻るというかすかな希望は火曜日（12日）に正式に潰えた。右肘にストレス反応を起こし、残りの期間は投球を中止することになった」と心配な声を寄せている。

　同じくMLB公式サイト『MLB.com』でパドレスの番記者を務めるAJ・カサベル氏は「パドレスはダルビッシュが右肘の怪我に対処するため、正式に今シーズンの登板終了を発表した。ドジャー・スタジアムのダグアウトで記者団に語ったダルビッシュは肘にストレス反応を起こした。当初は投球を続けられるだろうと期待していたが、彼は最近キャッチボールを始めたとき、肘に痛みが残り、投げるのをやめることを決断した」と伝えている。

　ダルビッシュは今シーズン24試合に登板して８勝（10敗）、防御率4.56。136.1イニングは規定投球回に届かず、これは2018年以来５年ぶり。チームも68勝78敗でナ・リーグ西地区４位に低迷しており、プレーオフ進出が絶望的な状況のなか、シーズンを途中で終えることになった。37歳の日本人右腕は通訳を通じて、「自分も含めて、チームは本来の力を発揮できなかった。そこにフラストレーションもある」と話し、唇を噛んだ。
  　エース右腕のシーズン途中離脱にカサベル記者は悲嘆すると同時に、昨年オフにパドレスと６年の契約延長にサインした同投手の将来についても案じているようだ。

　同記者は「ダルビッシュは過去、トミー・ジョン手術でテキサス・レンジャーズでの2015年シーズンを棒に振っており、ストレス反応でシカゴ・カブスでの18年シーズンのほとんどを犠牲にしている」と指摘。「右肘のストレス反応は当時の痛みと『かなり似ている』とダルビッシュは語っている。18年時は夏に何度もカムバックを試みたがうまくいかず手術を受け、19年シーズン開幕時には投球できる状態になっていた」と振り返っており、右肘の炎症が長引けば再び手術を受ける可能性を示唆している。

「今回の怪我は、少なくともダルビッシュにとっては理想的な休養期間となる。少なくとも６週間は投げず、その時点で再評価を受ける。そのときになって初めて、同じような手術が必要かどうかが、はっきりするだろう」

　不本意な成績に終わったダルビッシュだが、「今の自分にできることは治すためにベストを尽くすことなので、そこに対しては全く悲観していない」と答えており、早くも来シーズンの復帰をベテランは見据えている。

構成●THE DIGEST編集部

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