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プロ野球

次代の投手王国の一角となるか――スケール感とクレバーさを併せ持つ西武5年目・渡邉勇太朗の成長から目を離すな<SLUGGER>

氏原英明

2023.09.26

入団当時から大きな期待を受けてきた渡邉。覚醒の時は確実に近づいている。写真:産経新聞社

入団当時から大きな期待を受けてきた渡邉。覚醒の時は確実に近づいている。写真:産経新聞社

 スケール感。

 投げるボール一つ一つにしても、マウンドの立ち居振る舞いにしても、記者から質問に答える言葉にしても、高いレベルを感じずにはいられなかった。

明暗分かれる広島と西武の新監督。「得失点差以上の成績」は本当に指揮官の手腕のおかげなのか?【DELTA】

 5年目の右腕・渡邉勇太朗(西武)のことである。

 「初回は緊張しましたけど、時間や球数をかけながら、落ち着いて投げられたかなと思います。5年目になるんで、ピンチでもあわてることはなかったです」。

 9月20日の日本ハム戦、今季。ようやく初登板を果たした西武の若き右腕・渡邉はそう試合を振り返った。5回を2安打無失点に抑える快投だった。

  最速151キロのストレートをうまくコントロールしながら投げていく。カットボール、スライダー、スプリットを投げ分け、相手打線に的を絞らせなかった。球数こそ多くなったものの、1度ピンチを招いただけでほとんど危なげないピッチング。

「6回まで投げたかった」と公式コメントで心情を吐露したように、やはり、目指すところは高いところにあるのだろう。
 
 浦和学院高時代は今季から再びチームメイトとなった蛭間拓哉とともに甲子園ベスト8。吉田輝星(日本ハム)、根尾昂(中日)、藤原恭大(ロッテ)ら黄金世代と呼ばれたU-18侍ジャパンで活躍した。同年のドラフト2位で入団。高校時代に靭帯を痛めたこともあって、スローペースで成長を遂げてきたが、その才能の片鱗を見せたピッチングといえよう。

 高校時代から変わらないのは、スケール感がありながら、そのクレバーなスタイルだ。 ストレートは全力で投げれば常時150キロ以上を出せるだろう。しかし、この日はカウントを見ながら投げ分けていたのである。

 渡邉はその理由をこう話す。

「そこは力を入れたり抜いたりしています。カウントを取りに行く時と、決めにいくストレートが違いはあります。すべての球を全力でいっても、バッターは対応してくると思うんで、データの中でも、カウント取りやすい場所があるので、そういう時はやっぱりストライクゾーンに投げることを意識して投げている。そこで力入れて投げようとするとコントロールはアバウトになるので、バランスを意識して投げるようにしています」

 データを頭に入れながら、力の出し入れも行っているあたりは並の若手投手ではない。「カウントを取れる」ことが分かっていると、無理に力を入れずに投げる。それでも145キロを超えてくるのだから、クレバーかつスケール感があるというものだ。

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