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プロ野球

「育成改革」に着手する西武、入団テストで徹底したデータ収集!多種多様な計測数値から潜在能力を可視化する意図とは?<SLUGGER>

氏原英明

2023.09.08

ライオンズトレーニングセンターで行なわれた西武の入団テスト。写真:氏原英明

ライオンズトレーニングセンターで行なわれた西武の入団テスト。写真:氏原英明

 ベルーナドームに隣接されたライオンズトレーニングセンターに足を運ぶと見慣れない機器が設置してあった。

 正確には1軍施設でも見かけたものもあったのだが、その日が「入団テスト」だと聞いていたから尚更、奇妙な機器の存在にこのテストが先進的なもののように見えた。

 リーグ優勝23回、日本一13回を誇る西武が昨年に続いて入団テストを行なった。この入団テストは秋のドラフト会議で指名する新人選手や外国籍選手の人材発掘を行なうためだが、一般的に想像できる「入団テスト」とは様子が異なっていた。
 
 もともとイメージしていたのは希望者を集めた「トライアウト」のようなものという認識だった。脚力や遠投の距離を測り、その基準値をクリアしたものだけが、実戦のテストを行う。入団テストとはそういうイメージだ。

 しかし、午後の実戦形式(ライブBP)の前に行なわれた午前の部は、完全に計測重視のテストだった。それも先に挙げた見慣れない機器を使用した一般的ではないものばかり。

 ある場所では四方に光電管の機器を置いて、その反応をもとにアジリティを計測。敏捷性だけでなく反応も見ているようだった。メディシンボール投げのタイム計測や垂直跳びも高さではなく速度を計測。50メートル走はただ走るだけでなく、スタートは反応速度も測っていた。午前の部の最後には自転車を数秒間全力で漕ぐことによって最大出力を数値化していた。また、午後は実戦形式と並行して遠投テスト。こちらも距離ではなく球速やコントロールなどを計測するなど一味違っていた。

 実技テストのなかで、様々な角度からアスリートとしての能力を測る理由は球団の浅からぬ狙いがある。

 2017年の2月から老朽化した2軍選手寮や球場、室内練習場などを改装。2019年には3軍制度までを設置した西武は大掛かりな育成改革に着手しているのだ。2023年度からさらにブラッシュアップ。マネジメントやコーチング学、チームビルティングなど多岐に渡り、その一環として、この日のような入団テストがあった。

 チームの統括部長市川徹氏はいう。
「(ドラフト)コンバインのようにしたいなというのをイメージしていますね。単純にスピードを図るのではなくて、加速力はどうであるのかとかを見極めていく。走力があるとか、パワーがある選手というのはたくさんいると思いますが、そうではないところを見極めていければと思います。今回で2回目ですけど、これで決まりではなく、よりいいものを取り入れていきたい」
 
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