昨年からセットアッパーとしてフル回転し、今年もオリックスの3連覇に大きく貢献した阿部翔太。シーズン序盤は苦しむ場面もあったが、後半になるにつれて昨年を超えるような気迫のこもった投球で中継ぎ陣を引っ張っている。
「一球一球集中する姿勢だけは絶対に持ってほしい」オリックスに黄金期をもたらした中嶋監督の“言葉の力”【オリ熱コラム2023】
現在の状態について阿部は「シーズン序盤に比べたら全然、相手とバッターと自分との戦いじゃなくて、しっかり勝負できていると思うんで。 打たれても、そこはしっかり反省してできているから、こういう結果につながっている。昨年よりはいいかなと。打たれてる球は全部甘い逆球とかなんで。自分が生きていくためにはコントロールが必要だと思うので、そこはしっかり反省したい」と語る。
チームに優勝マジックが点灯した矢先に一軍登録を抹消されたが、これは中嶋聡監督が「疲れてるやろ」と配慮したもの。監督の思いやりに「絶対に10日で戻ってくる」という思いで取り組んだ結果、優勝に間に合った。
「調子悪いというか細かいところだと思うんですけど、身体のキレがなかったりだとかもあったんで。やっぱり真っすぐがある程度行けないと、変化球を振ってくれない。身体がフレッシュになって、そこは修正できたかなと思います」。抹消中はトレーニングを多めに入れたり、ボールにキレを取り戻すために走ったりしつつ、しっかりと疲れも取れたという。 今ではブルペンを引っ張る存在となった阿部に影響を与えているのが“守護神”平野佳寿だ。「目指すべきところは平野さん」という阿部は「去年言われた通り、やっぱり真っすぐが基本っていうのはあるんで。もちろんフォークで勝負なんですけど、真っ直ぐがあってのことだと思うんで、そこを言っていただいたりとかしました。それに、ランナーが出たとしてもしっかり返さないだったりとか、平野さんってそういうところがすごいなって本当に思うんで、 見習っていかなくちゃいけないなと思います」とまさに心酔している。
そんな平野からかけられた印象的な言葉がある。8月4日の西武戦で岸潤一郎にサヨナラホームランを打たれた時のことだ。「平野さんに『謝るな』って言われて。次を抑えたらいいし、謝ったところで別に何も返ってこないじゃないですけど、次に抑えることが僕らの仕事だと思うので、そういう意味合いもあってそう言ってくれたんだと。ホッとしますよね。逆に言えば、点を取られても謝らないで、またみんなに認めてもらうには次にしっかり抑えるしかない。そこはすごい大きいかなと思います」
そのひと言をもらってからは「もう謝らないようにしました。打たれることもありますが、それも自分の実力やと思うようになりました」と常に前を向けるようになれたそうだ。昨年は日本シリーズで阿部自身は悔しい思いをしているだけに、昨年以上の気迫あふれるピッチングでポストシーズンを戦い抜いてもらいたい。
取材・文●どら増田
【著者プロフィール】
どらますだ/1973年生まれ。プロ野球では主にオリックスを取材し、週刊ベースボールの他、数々のウェブ媒体でも執筆している。書籍『ベースボールサミット 第9回 特集オリックス・バファローズ』(カンゼン)ではメインライターを務めた。プロレス、格闘技も取材しており、山本由伸と那須川天心の“神童”対談を実現させたことも。
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取材・文●どら増田
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どらますだ/1973年生まれ。プロ野球では主にオリックスを取材し、週刊ベースボールの他、数々のウェブ媒体でも執筆している。書籍『ベースボールサミット 第9回 特集オリックス・バファローズ』(カンゼン)ではメインライターを務めた。プロレス、格闘技も取材しており、山本由伸と那須川天心の“神童”対談を実現させたことも。
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