無名の速球投手が富山にいる――。それを知ったのは、今シーズン再始動した西武三軍が、独立リーグの各チームと行っている交流戦を取材しに、現地へ行ったときだった。
9月19日、富山・ボールパーク高岡で行われた日本海リーグ・富山サンダーバーズ対埼玉西武ライオンズ三軍戦。陽が傾き始めたバックネット裏には、NPB各球団のスカウトが陣取っていた。聞けば8球団ほどいたという。
【表】2023ドラフト候補ランキング【最終版】1~50位一覧 「夏場くらいから急に名前を聞くようになって、実際に見て確かめないと」ある球団のスカウトは、試合前にそう行って私に笑顔を見せた。どんなボールを投げるのか、見るのが楽しくて仕方ないといった様子で、その表情からこちらの気持ちも高まっていった。
両チーム無得点で迎えた5回表。NPBスカウトたちが一斉にスピードガンを構え、ビデオを回し始めた。皆のお目当てがマウンドに上ったからだ。
スカウトたちの鋭い眼光、その先にいるのは背番号17・大谷輝龍(ひかる)24歳。石川県の小松大谷高卒業後、4年間で2つの社会人チームを渡り歩いたが、戦力外を言い渡されて退団。プロ入りに向け、今年1年を勝負の年と定め、独立リーグ・富山サンダーバーズへ入団した。球団SNSによれば、この時点での最速は157キロという快速右腕だ。
この日は打者6人に対し、20球中19球が自慢のストレート。球速は全て150キロを超えていた。2本のヒットと打撃妨害で満塁にはしたものの、アウト3つを三振で奪う圧巻のパフォーマンスで1イニング無失点に抑えた。
「(スカウトが)見ているのはわかっていましたが意識しないように、ブルペンのときから自分のピッチングをしようと心がけていました。真っ直ぐで結構空振りが取れていましたし、ストレートが走ってくれて、いいほうにいってくれました。」
ストレートと分かっていても打ち返せないストレートを投げたい。それが「富山の大谷」が目指すところ。入団当初は最速155キロを目標にしていた。しかし現在、最速は157キロ。半年たらずで目標の球速をクリアしてしまったのだ。
「157キロを投げるNPB以外の選手はなかなかいませんよ。でも、僕はあまりびっくりはしていないんです。出るだろなって思っていました」
そう話すのは、元阪神・西村憲投手コーチ。去年まで沖縄の社会人チームで投手コーチを務めていたが、オファーを受けて今年富山にやってきた。大谷だけではなく、ドラフト候補と言われている日渡柊太や快(松原快)など、いずれも最速150キロを超える若き才能たちの指導に当たっている。
「みんな取り組む姿勢がいいですし、本当に黙々と練習をやるので、こちらとしては見ているだけですね。(大谷は)元々、速い球を投げられるだけのポテンシャルを持っていたと思いますし、この9月に入ってパフォーマンスを上げてきた自己管理能力も評価できると思います。」
この西村コーチとの出会いが、大谷の眠っていた能力を安定して発揮できる土台を作ることになった。
9月19日、富山・ボールパーク高岡で行われた日本海リーグ・富山サンダーバーズ対埼玉西武ライオンズ三軍戦。陽が傾き始めたバックネット裏には、NPB各球団のスカウトが陣取っていた。聞けば8球団ほどいたという。
【表】2023ドラフト候補ランキング【最終版】1~50位一覧 「夏場くらいから急に名前を聞くようになって、実際に見て確かめないと」ある球団のスカウトは、試合前にそう行って私に笑顔を見せた。どんなボールを投げるのか、見るのが楽しくて仕方ないといった様子で、その表情からこちらの気持ちも高まっていった。
両チーム無得点で迎えた5回表。NPBスカウトたちが一斉にスピードガンを構え、ビデオを回し始めた。皆のお目当てがマウンドに上ったからだ。
スカウトたちの鋭い眼光、その先にいるのは背番号17・大谷輝龍(ひかる)24歳。石川県の小松大谷高卒業後、4年間で2つの社会人チームを渡り歩いたが、戦力外を言い渡されて退団。プロ入りに向け、今年1年を勝負の年と定め、独立リーグ・富山サンダーバーズへ入団した。球団SNSによれば、この時点での最速は157キロという快速右腕だ。
この日は打者6人に対し、20球中19球が自慢のストレート。球速は全て150キロを超えていた。2本のヒットと打撃妨害で満塁にはしたものの、アウト3つを三振で奪う圧巻のパフォーマンスで1イニング無失点に抑えた。
「(スカウトが)見ているのはわかっていましたが意識しないように、ブルペンのときから自分のピッチングをしようと心がけていました。真っ直ぐで結構空振りが取れていましたし、ストレートが走ってくれて、いいほうにいってくれました。」
ストレートと分かっていても打ち返せないストレートを投げたい。それが「富山の大谷」が目指すところ。入団当初は最速155キロを目標にしていた。しかし現在、最速は157キロ。半年たらずで目標の球速をクリアしてしまったのだ。
「157キロを投げるNPB以外の選手はなかなかいませんよ。でも、僕はあまりびっくりはしていないんです。出るだろなって思っていました」
そう話すのは、元阪神・西村憲投手コーチ。去年まで沖縄の社会人チームで投手コーチを務めていたが、オファーを受けて今年富山にやってきた。大谷だけではなく、ドラフト候補と言われている日渡柊太や快(松原快)など、いずれも最速150キロを超える若き才能たちの指導に当たっている。
「みんな取り組む姿勢がいいですし、本当に黙々と練習をやるので、こちらとしては見ているだけですね。(大谷は)元々、速い球を投げられるだけのポテンシャルを持っていたと思いますし、この9月に入ってパフォーマンスを上げてきた自己管理能力も評価できると思います。」
この西村コーチとの出会いが、大谷の眠っていた能力を安定して発揮できる土台を作ることになった。
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