2023年のワールドシリーズは、いずれも2年前に100敗を喫しながらも対照的な手法で大躍進を果たしたチーム同士の対戦となった。
【山本萩子のMLBプレーオフ至上主義!│前編】球場の盛り上がり、選手の表情、起用法...何もかもいつもと違う独特の魅力<SLUGGER>
テキサス・レンジャーズはスター選手のパワーでここまでのし上がってきた。21年オフにコリー・シーガーとマーカス・セミエン、そして昨オフにジェイコブ・デグロムを獲得するなど、過去2年間でFA市場に投じた額は実に8億ドル以上、日本円で何と1200億円近くに達する。その上、今夏さらにジョーダン・モンゴメリー、マックス・シャーザー、アロルディス・チャップマンをトレードで補強。オーナー、フロントが一体となって勝利へ向けて邁進し、見事に躍進へつなげた。
一方、アリゾナ・ダイヤモンドバックスの総年俸はレンジャーズのおよそ半分強。ルーキーでは史上初の25本塁打&50盗塁を達成し、新人王をほぼ手中に収めたコービン・キャロルらマイナーから上がってきた若手を中心としつつ、地味だが効果的なトレードでも着実にチームの戦力を向上させ、今ポストシーズンでも若さを前面に出して“下克上”の連続で勝ち上がってきた。
では、好対照の両チームの対決では何が勝敗を分けるだろうか。3つのポイントに絞ってみた。 ▼Dバックス投手陣は“爆弾男”ガルシアを攻略できるか
それにしてもリーグ優勝決定シリーズでのアドリス・ガルシアの猛打はすごかった。第4戦から4試合連続で5本塁打。今ポストシーズン通算では12試合で7本塁打、20打点を叩き出している。
だが実は、リーグ優勝決定シリーズは第3戦まで11打数2安打、長打なしと沈黙していた。この時はアストロズ投手陣が高めの速球を中心に攻め、空振りやポップフライに打ち取る攻略パターンを確立していた。感情を前面に押し出し、時には相手と一触即発の騒ぎも巻き起こすガルシア。彼が打つと、レンジャーズ全体が盛り上がる。一方でムラがあり、スランプに陥るとボール球にも手を出すことが増える。
もちろん、少しでも制球を誤れば代償は大きい。第5戦でジャスティン・バーランダーが献上した逆転3ランは、内角高めを狙った4シームが中途半端な高さに行って仕留められたものだった。そしてこの一発以降、ガルシアの勢いを誰も止められなかった。
Dバックス投手陣がどのようにこの“爆弾男”を攻略するのか。これも、今シリーズの勝敗を分ける大きなポイントになるはずだ。
▼レンジャーズはDバックスの機動力を阻止できるか
Dバックス最大の持ち味と言えばもちろん機動力だ。リーグ優勝決定シリーズ第7戦では、単打で出塁した選手を盗塁やバント、好走塁を絡めながら進塁させて得点を積み重ねた。ここまで16盗塁を決め、失敗はわずか3。今季から導入されたベースのサイズ拡大や牽制球の制限などの新ルールを最も上手く活用したチームとも言える。当然、ワールドシリーズでも積極的に走ってくるはずだ。
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テキサス・レンジャーズはスター選手のパワーでここまでのし上がってきた。21年オフにコリー・シーガーとマーカス・セミエン、そして昨オフにジェイコブ・デグロムを獲得するなど、過去2年間でFA市場に投じた額は実に8億ドル以上、日本円で何と1200億円近くに達する。その上、今夏さらにジョーダン・モンゴメリー、マックス・シャーザー、アロルディス・チャップマンをトレードで補強。オーナー、フロントが一体となって勝利へ向けて邁進し、見事に躍進へつなげた。
一方、アリゾナ・ダイヤモンドバックスの総年俸はレンジャーズのおよそ半分強。ルーキーでは史上初の25本塁打&50盗塁を達成し、新人王をほぼ手中に収めたコービン・キャロルらマイナーから上がってきた若手を中心としつつ、地味だが効果的なトレードでも着実にチームの戦力を向上させ、今ポストシーズンでも若さを前面に出して“下克上”の連続で勝ち上がってきた。
では、好対照の両チームの対決では何が勝敗を分けるだろうか。3つのポイントに絞ってみた。 ▼Dバックス投手陣は“爆弾男”ガルシアを攻略できるか
それにしてもリーグ優勝決定シリーズでのアドリス・ガルシアの猛打はすごかった。第4戦から4試合連続で5本塁打。今ポストシーズン通算では12試合で7本塁打、20打点を叩き出している。
だが実は、リーグ優勝決定シリーズは第3戦まで11打数2安打、長打なしと沈黙していた。この時はアストロズ投手陣が高めの速球を中心に攻め、空振りやポップフライに打ち取る攻略パターンを確立していた。感情を前面に押し出し、時には相手と一触即発の騒ぎも巻き起こすガルシア。彼が打つと、レンジャーズ全体が盛り上がる。一方でムラがあり、スランプに陥るとボール球にも手を出すことが増える。
もちろん、少しでも制球を誤れば代償は大きい。第5戦でジャスティン・バーランダーが献上した逆転3ランは、内角高めを狙った4シームが中途半端な高さに行って仕留められたものだった。そしてこの一発以降、ガルシアの勢いを誰も止められなかった。
Dバックス投手陣がどのようにこの“爆弾男”を攻略するのか。これも、今シリーズの勝敗を分ける大きなポイントになるはずだ。
▼レンジャーズはDバックスの機動力を阻止できるか
Dバックス最大の持ち味と言えばもちろん機動力だ。リーグ優勝決定シリーズ第7戦では、単打で出塁した選手を盗塁やバント、好走塁を絡めながら進塁させて得点を積み重ねた。ここまで16盗塁を決め、失敗はわずか3。今季から導入されたベースのサイズ拡大や牽制球の制限などの新ルールを最も上手く活用したチームとも言える。当然、ワールドシリーズでも積極的に走ってくるはずだ。
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