全ての比重がクローザーの平野佳寿に押し寄せていた。
10月31日の日本シリーズ第3戦。オリックスは6回までの5対1の優位な試合展開から、阪神に1点差まで迫られていた。6回には4番の頓宮悠真が、9回には森友哉もベンチに下がっていた。平野が不在の時にはクローザーを務める山﨑颯一郎も、今日はベンチ外。逃げ場のない状況、それも圧倒的なアウェーの空気の中で平野はマウンドに立っていた。
「交流戦で何度も対戦していますけど、甲子園は今まででいちばんの雰囲気。すごい応援だった」
まるで他人事のように振り返ったのは、平野本人だった。プレッシャーはあったはずだった。それでも最後はきっちり火消しをこなしていく姿にベテラン右腕の凄みを感じたものだ。
この日のオリックスはどこか勝利を急いでいる印象だった。
先発の東晃平が2回に内野ゴロの間に1点を失うも、4回表に頓宮悠真の左中間スタンドに飛び込むソロ本塁打で同点とした。5回表には紅林弘太郎と若月健矢の連打で無死一、三塁として、8番・廣岡大志の併殺崩れの間に1点を勝ち越し。相手のミスでその後もチャンスを拡大すると、2番・宗佑磨が右中間を破るタイムリー二塁打を放って2点を追加。6回表にも、若月の犠牲フライで1点を追加して5対1とリードしたのだった。
すると、中嶋聡監督は6回裏から守りを固め始める。
6回表から頓宮の代走で出た安達了一をのまま二塁の守備に就かせ、二塁のゴンザレスが一塁へ。好投の東も小木田敦也にスウィッチした。
早めの継投で相手打線を波に乗せない。そんな算段だっただろう。だが7回には山岡泰輔をマウンドに送った結果、猛反撃を浴びてしまう。
山岡は1死満塁のピンチを作ると、2番・中野拓夢の一塁ゴロの間に1点を献上。3番・森下翔太にもライト前に運ばれて、1点差まで詰め寄られれてしまったのだ。
ここで中嶋監督は宇田川優希を投入し、火消しに入ったのだ。この日は山﨑颯をベンチ外にしていたから、やや思い切った起用だとも言えた。もう1イニングをどうマネジメントするかは気になるところだった。
宇田川はこのピンチを摘み取ると、8回も無失点で切り抜けて、平野にバトンを渡していたというわけである。
確かに勝ち継投だ。しかし、もう一度状況を整理してみると、ここでの登板にいかに比重があるかが分かる。決して、いい流れではない。
先ほども書いたように追い上げられていたこと、舞台が甲子園という圧倒的アウェーであったこと、そして山﨑颯という助け舟もいなければ、攻撃の核である頓宮、森もベンチに下がり、相手の反撃を同点に止めたとしても、やり返すには厳しい状況だったということ。
いわば逃げ場のない中で、平野は抑えを託されたのだ。
10月31日の日本シリーズ第3戦。オリックスは6回までの5対1の優位な試合展開から、阪神に1点差まで迫られていた。6回には4番の頓宮悠真が、9回には森友哉もベンチに下がっていた。平野が不在の時にはクローザーを務める山﨑颯一郎も、今日はベンチ外。逃げ場のない状況、それも圧倒的なアウェーの空気の中で平野はマウンドに立っていた。
「交流戦で何度も対戦していますけど、甲子園は今まででいちばんの雰囲気。すごい応援だった」
まるで他人事のように振り返ったのは、平野本人だった。プレッシャーはあったはずだった。それでも最後はきっちり火消しをこなしていく姿にベテラン右腕の凄みを感じたものだ。
この日のオリックスはどこか勝利を急いでいる印象だった。
先発の東晃平が2回に内野ゴロの間に1点を失うも、4回表に頓宮悠真の左中間スタンドに飛び込むソロ本塁打で同点とした。5回表には紅林弘太郎と若月健矢の連打で無死一、三塁として、8番・廣岡大志の併殺崩れの間に1点を勝ち越し。相手のミスでその後もチャンスを拡大すると、2番・宗佑磨が右中間を破るタイムリー二塁打を放って2点を追加。6回表にも、若月の犠牲フライで1点を追加して5対1とリードしたのだった。
すると、中嶋聡監督は6回裏から守りを固め始める。
6回表から頓宮の代走で出た安達了一をのまま二塁の守備に就かせ、二塁のゴンザレスが一塁へ。好投の東も小木田敦也にスウィッチした。
早めの継投で相手打線を波に乗せない。そんな算段だっただろう。だが7回には山岡泰輔をマウンドに送った結果、猛反撃を浴びてしまう。
山岡は1死満塁のピンチを作ると、2番・中野拓夢の一塁ゴロの間に1点を献上。3番・森下翔太にもライト前に運ばれて、1点差まで詰め寄られれてしまったのだ。
ここで中嶋監督は宇田川優希を投入し、火消しに入ったのだ。この日は山﨑颯をベンチ外にしていたから、やや思い切った起用だとも言えた。もう1イニングをどうマネジメントするかは気になるところだった。
宇田川はこのピンチを摘み取ると、8回も無失点で切り抜けて、平野にバトンを渡していたというわけである。
確かに勝ち継投だ。しかし、もう一度状況を整理してみると、ここでの登板にいかに比重があるかが分かる。決して、いい流れではない。
先ほども書いたように追い上げられていたこと、舞台が甲子園という圧倒的アウェーであったこと、そして山﨑颯という助け舟もいなければ、攻撃の核である頓宮、森もベンチに下がり、相手の反撃を同点に止めたとしても、やり返すには厳しい状況だったということ。
いわば逃げ場のない中で、平野は抑えを託されたのだ。
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