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プロ野球

【2019総括・広島】3連覇の代償が…ブレイク組のプラス分をはき出した主力の不調

前原淳

2019.12.19

今季は3連覇をした王者の姿なく、まさかのリーグ4位と惨敗に終わった。提供:朝日新聞社

今季は3連覇をした王者の姿なく、まさかのリーグ4位と惨敗に終わった。提供:朝日新聞社

▶収穫と誤算

 今季の広島はリーグ4連覇を逃しただけでなく、クライマックス・シリーズすら出場できない4位に終わった。開幕直後に出遅れ、5月は球団記録となる月間20勝を積み重ねるも、ジェットコースターのような浮き沈みの激しさはシーズン最後まで続き、安定した戦いができなかった。

 原因は、チームを支える主力選手にあった。新井貴浩が現役引退、エルドレッドが退団、丸佳浩が巨人へFA移籍と、3連覇を支えた3つの柱が抜けた。さらにシーズンに入ると、松山竜平や田中広輔、中崎翔太ら主力が不振や不調にあえいだ。

 代わって西川龍馬やバティスタらが台頭したものの、彼らがスタメンに押し上げられることで代打を含めた控えの戦力がダウン。試合終盤に反撃態勢ができても、逆転するどころか追いつくこともできないまま終わる試合もあった。逆転勝利は昨季の41試合から26試合に激減。開幕前から言われた2年連続MVP"丸の穴"は、ただの3番打者という面だけでなく、チーム全体の戦力に大きな影響を及ぼすことになった。
 
 また、3連覇に貢献してきた選手たちの疲弊も見られた。田中広や中崎はともに秋に手術を決断。中継ぎ陣は中崎だけでなく、一岡竜司や今村猛など優勝メンバーが揃って精彩を欠いたのは誤算だった。ただ同時に、これまでの貢献度を考えると、ある程度、想定しなければいけなかった問題でもあったかもしれない。そういった意味では、チーム内の新陳代謝が遅れたという見方もできなくもない。結果的に勝ちパターンを確立できず、逆転負けも26試合から32試合に増えてしまった。

 3連覇から4年ぶりBクラスとなり、広島は過渡期を迎えている。主力が抜け、新しい芽が出てきたことは明るい材料である。先述した選手だけではない。遠藤淳志や山口翔は高卒2年目、スタメン53試合を含む58試合に出場した小園海斗は高卒1年目。まだ19歳と若い。ほかにも坂倉将吾、床田寛樹がさらなる成長を期待されている。監督が代わり、中堅選手も目の色を変えている。

 11月2日からの秋季キャンプは他球団が中堅クラスも多く帯同させている中、広島は大胆に若手主体のメンバー構成に舵を取り、戦力の底上げを優先した。今オフ、ポスティングでのメジャー移籍を表明した菊池涼介を除けば、FA取得選手はみな残留。佐々岡真司新監督は緒方孝市前監督のチームをベースに、どんな色をつけていくのか――。新指揮官の手腕が注目される。
 

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