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高校野球

「今後が楽しみ。めちゃめちゃ悔しいですけどね」昨夏4強の神村学園が常勝・大阪桐蔭との対戦で得た財産

氏原英明

2024.03.28

エースナンバー1を背負う今村。大阪桐蔭戦では2イニングを投げ無安打無失点に抑えた。写真:滝川敏之

エースナンバー1を背負う今村。大阪桐蔭戦では2イニングを投げ無安打無失点に抑えた。写真:滝川敏之

 スコアは2−4。昨夏ベスト4の神村学園が大阪桐蔭の前に散った。

「守りからリズムを作るというのを掲げていましたが、守備にミスが出て、完全に守備陣が守りに入っていた。攻める守りができなかったのが全てだったと思います」

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 神村学園の小田大介監督はそう敗因を振り返ったが、試合全体を総括するとやり切った満足感を漂わせていた。ミスは出たものの、試合前の期待通りに、この日登板した5人の投手がやり切ったからだ。
 
 小田監督は続ける。

「今日はピッチャーにはストライクゾーンで勝負しようといって送り出しました。強気というのはインコースに投げるとか、力んだボールを投げることではなくて、打たれることを恐れずに、ストライクゾーンに自分のベストボールを投げることだよって話をして、投手陣はその通りに投げてくれた。ビッグイニングを作られずになんとか凌いだのは褒めるべきところだと思います」

 試合に敗れてもこうも言ってしまえるのは、やはり対戦相手が大阪桐蔭だからである。毎年チームが変わる高校野球においては、常に強豪校が強いとは限らない。しかし、2度の春夏連覇を果たしている大阪桐蔭というチームは、全国の多くのチームにとって目標であり憧れなのだ。

 小田監督は今大会の組み合わせが決まった時から「大阪桐蔭と対戦すること」をチームにとって大事な機会だと捉えていてこの日を迎えていた。だからこそ、ピッチャーには大阪桐蔭にビビってかわすようなピッチングではなく、ストライクゾーンで勝負していくことで何かを掴んでほしいと考えていたわけである。

 試合は1回表に幸先よく先制したものの、その裏にミスから犠牲フライで同点に追いつかれてしまう。3回には2死一塁からの長打で1失点。5回にはライトオーバーの処理を誤ってランニングホームランを浴びたが、1点ずつの失点でビッグイニングを作られなかったことを大きな収穫と小田監督は先発した上川床勇希を褒めていた。

 上川床は5回途中までを投げて3失点。2番手の早瀬朔が3分の1を抑えてエースの今村拓未に繋いだ。今村は1失点したものの2イニングを抑えてみせた。

 上川床は手応えがあったとこう振り返る。

「もっと打たれると思ったんですけど、自分の中で収穫の方が大きかった。こうしたら抑えれるという強いチームの対策を学べました。ストレートだけじゃなくて、バッターのスイングを見てスライダーを続けることだったり、カウントが3-2になっても思い切り腕を振ってストライクゾーンからボールになる変化球を投げたりすることが大事だなと思いました」
 
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