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プロ野球

【2020ブレイク必至の男たち:田中正義(ソフトバンク)】必要なのは自分を信じる力。5球団が競合したドラ1右腕が異国で得た飛躍の契機

中島大輔

2020.01.04

故障もあってプロ最初の2年間はくすぶっていた田中だが、ウインターリーグで本来の投球を取り戻しつつある。写真:朝日新聞社

故障もあってプロ最初の2年間はくすぶっていた田中だが、ウインターリーグで本来の投球を取り戻しつつある。写真:朝日新聞社

 2016年のドラフトで5球団から1位指名され、鳴り物入りでプロ入りした田中正義。入団3年目の最後になって、彼は才能の片鱗をようやく見せた。

 と言っても、日本での話ではない。遠く離れたカリブ海に浮かぶアメリカ自治領プエルトリコで行われたウインターリーグでのことだ。

「田中は自分の投球を理解している。高めの速球をスウィングさせてカウントを稼ぎ、低めにスプリッター(フォーク)を落としてストライクゾーンの幅を使うことができる。彼には明るい未来が待っていると思う」

 そう話したのは、田中らソフトバンク勢が派遣されたヒガンテス・デ・カロリーナのビクトル・ラモス投手コーチだ。
 
「何かきっかけになれば」とプエルトリコのウインターリーグに参戦した田中は、6試合に登板して2勝1敗、防御率1.80。20.0イニングを投げて与四球2、奪三振24と先発投手として抜群の安定感を発揮した。ちなみに、アメリカや中南米から現役メジャーリーガーや移籍先を探すFA選手らが参戦するプエルトリコ・ウインターリーグのレベルは、2Aと3Aの間くらいとされている。日本で言えば1.5軍程度だろう。

「プエルトリコに来てからふと、周りを気にしても仕方ないと思ったんです」

 異国で表れた自身の変化について、田中はそう話した。

 同い年の大谷翔平(エンジェルス)と比較されるほど大きな期待を背負って入団し、周囲の目が気になって仕方なかった。右肩の違和感もあった1年目はファームですごし、2年目は一軍で10試合に登板して防御率8.56。3年目の19年は一軍のマウンドに立つ機会を1度しか与えられず、シーズンを終えた。

「これまでは自分の力を出し切れないで、一軍に上がってはすぐに落ちるという感じでした。メンタル面が大きいと思います。もちろん技術も足りてないけど、端から見た人は、もう少しできるだろうと感じていたと思いますね。周りの環境に関係なく、集中して投げることをプエルトリコで挑戦しています」

 プエルトリコの環境は、何もかもが日本とは違う。毎試合のように数万人の観客が詰めかける日本と違って、長らく経済問題に悩まされるプエルトリコのスタジアムでは閑古鳥が鳴いている。観客が1000人に満たないことも珍しくない。
 
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