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プロ野球

一流投手に共通するトレンドはピッチトンネル~「緩急をつける」から「軌道に乗せる」へ~

氏原英明

2019.12.28

最優秀防御率に輝いた山本(右)も、リリーフで大活躍した甲斐野にもピッチトンネルを駆使しているという共通点が。写真:金子拓哉(右)/山崎賢人(左)

最優秀防御率に輝いた山本(右)も、リリーフで大活躍した甲斐野にもピッチトンネルを駆使しているという共通点が。写真:金子拓哉(右)/山崎賢人(左)

 2019年を振り返る時、日本シリーズ第1戦の攻防が頭から離れない。

 巨人・山口俊、ソフトバンク・千賀滉大の両先発が見せたピッチングに現代野球の「勝つ投手」の特徴が如実に現れていたように思えたからだ。

 二人のピッチングスタイルは、ストレートを軸としたパワーピッチングができるところだが問題はそこではなく、山口は140km後半、千賀は150km後半に達するストレートを持ちながら、それに近い球速の球種を持っているところである。そのため、球種の判別がつかず絞りにくいのだ。

 山口の場合、元々、ストレートとスラーブ、スライダー、落差のフォークが武器だった。しかし今季は、これらの球種の変化量を少なくし、球速が上がった中で打者と対峙している。例えば、左打者との対戦でインコースをついていくと、打者はストレートとスライダー、フォークを見分けるのが難しい。

 日本シリーズ第1戦で山口は、3番の柳田悠岐を2打席連続三振。この時のピッチングがまさにインコースを狙って、球種を投げ分けたものだった。
 
 一方の千賀は、昨季までだと、速いストレートと“お化け”フォークが真骨頂だったが、今季からカットボールを混ぜるようになった。

 これが厄介だった。もともと、ストレートが非情に速いのに、あのフォークである。ストレートを意識すれば、フォークでタイミングを狂わされ、逆にフォークを意識すれば、ストレートに振り遅れた。そこに加えて、カットボールを投げることになったため、余計に絞りにくくなったのだ。

 千賀のカットボールは140km中盤くらいで推移。打者からすれば、ストレートと同じようなスピード感でやや変化する。この球種を頭に入れれば、いざ150km後半のストレートがくると、差し込まれる。一方、このストレートを意識すれば、追い込まれてからのフォークにバットが止まらなくなる。

 この日本シリーズでは、山口、千賀のほか、巨人では、メルセデス、高橋優貴、戸郷翔征などが同じようなピッチングを披露。ソフトバンクでは、リリーバーの石川柊太、甲斐野央などがストレートと近い変化球を駆使して、打者を牛耳っていた。石川は「パワーカーブ」が一般的な印象だが、球速の出るフォークを使うことで、昨年以上の厄介な投手へと変貌していた。

“高速”変化球の使い手が増えていると証言するのは、巨人の捕手・小林誠司だ。

「最近の投手は動くボールを投げる人が多いですよね。大まかにいったら、まっすぐ、スライダー、フォークという球種があって、カットボール、ツーシームが増えてきた。ピッチトンネルという考え方も浸透してきて、前に投げたボールの軌道を生かそうという投球、残像を活用した投球は増えてきた」
 

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