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高校野球

日米14球団が都内超進学校の初戦に熱視線! メジャー志向で“三刀流”の逸材、森井翔太郎の驚くべきポテンシャルと短すぎた最後の夏

大友良行

2024.07.09

3番・ショートで先発出場した森井。最後の夏は思わぬ幕切れとなった。写真:大友良行

3番・ショートで先発出場した森井。最後の夏は思わぬ幕切れとなった。写真:大友良行

 ドラフト上位候補の一人、桐朋の森井翔太郎(183センチ・86キロ、右投左打、3年)は、自軍のコールド負けが決まった瞬間、二塁ベース付近で思わずしゃがみこんだ。しばらくは動かなかった。いや、動けなかった。森井の短すぎた夏が終わった瞬間だ。

【センバツ総括】「飛ばない」が生み出す新たな思考。新基準バット導入で大会本塁打はわずか3本も… 指導者、球児に見えたスウィングへの探求心
 大学受験の超進学校『桐朋高校(国立市)』に「投手」「遊撃手」「3番打者」のまさに“三刀流”がいると関係者の間で、評判になっていた。その森井翔太郎は、最速153キロのストレートに加えカーブ、スライダー、フォークも投げる。通算45本の本塁打は豪快に振り抜いてセンターからライト方向へ飛ばす。

 100メートルを11秒6で走り抜ける。こんな逸材をNPB球団のスカウトたちが放っておくわけがない。全球団が動いている。

 7日の府中市民球場には桐朋の初戦、都立富士森戦に、日米14球団42名のスカウトたちが詰め掛けた。試合は桐朋が1回に1点を先制するも、その裏に一挙7点を奪われ、結局9対2の7回コールド負け。ドラフト上位指名候補を擁しての大敗に、スタンドからのため息と騒めきが巻き起こった。

 2番手で1回途中から登板した森井は、ブルペンで肩をつくることなく、ショートの守備位置から直マウンドへ。投手としては自身の持つ最速153キロは出ず、この日は147キロ止まり。いつものキレのある投球には、ほど遠かったものの4回2/3を1失点で抑え、多少なりともドラフト候補の意地を見せた。打撃面は、2回2死のチャンスにカウント2-1からセンターへのいい当たりのライナーを好捕されて3打数0安打で終わってしまった。

 しかしながら詰め掛けたスカウト陣からは「スター性がある」「スケールが大きい」「強肩で足もある」「雰囲気がある」「ポテンシャルがある」などと絶賛された。

 進学校だけに野球部はそれほど強いわけではない。健闘をみせたのは2003年。その年の秋に都大会8強まで進出。それが評価され翌春のセンバツ21紀枠の「関東・東京」の地区推薦校に選出されたこともあった。

 桐朋で今春28年目を迎える田中隆文監督兼体育教諭(55歳)は「あの時は、結局甲子園には行けませんでした。そこまででした」。
 
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