プロ野球の春季キャンプが一斉にスタートする。フリーエージェント（FA）による移籍やルーキー、新外国人など新加入選手によってチーム編成は新しくなったが、各チームがシーズンを勝ち抜くためのポイントはどこにあるのだろう。キャンプで注目される見所を探った。
◆ ◆ ◆
想像できるラインナップは昨季とそれほど変わらない。
巨人から移籍したビヤヌエバがどれほどのパフォーマンスを見せるかは気になるところだが、今キャンプでの注目は５年目の平沼翔太が遊撃手のレギュラーを奪取できるか、そして、王柏融VS清宮幸太郎のDH争い、大田泰示VS中田翔による４番争いだ。
遊撃手のレギュラーは中島卓也が長く務めているが、昨季は91試合のスタメン出場で打率は.220、出塁率は.278とどちらも物足りない数字。下位打線から上位につながる９番打者だけに、守備力が高くても、そろそろ過渡期を迎えている。
そこで平沼の存在が気になってくるというわけだ。
平沼はプロに入って遊撃手に挑戦。バッティングは高校時代から出色のものだったが、守備もついてきたことで、楽しみな存在になっている。昨季、ブレークを果たすはずだったが、故障離脱。今季は開幕からのスタメンを狙う位置にいる。センバツ優勝投手だった彼がプロに入って遊撃手に転向して成功を収めれば、球団の育成部門にも評価が高まるだろう。
平沼の他球団同期には、高校時代に騒がれた遊撃手がいたが、未だレギュラー奪取には至っていない。そうした事情もいい宣伝効果になるだろうし、本人としても狙っているだろう。
守備力で見るなら、石井一成もレギュラー候補。スローイングに定評があるから、少々無理な打球でも簡単にさばける。堅実な中島に対抗できる。どこまで迫れるか。
台湾のスター王が君臨する指名打者には、2018年のゴールデンルーキー・清宮幸太郎が挑戦する。昨季は肘の手術などでシーズンを通して苦しんだ。しかし、そうした雌伏の期間は選手の成長につながるときもある。キャンプは２軍からのスタートになるが、入団初年度は苦しんだ王にどこまで迫れるだろうか。
４番問題も、このチームの課題だ。
昨季は中田翔がその座を譲るなどしたが、それに加えて、同じパワーヒッターの大田がイベントで「４番を狙う」と公言。二人の争いが始まった。おそらく、キャンプの紅白戦で彼らはチームが別々になって４番を務めるはずだ。熱い戦いになる。
投手陣は12球団の中でも上位を争うくらいの陣容が揃っている。
昨季最多勝の有原航平がいて、サウスポーの加藤貴之、金子弌大は先発に専念できれば、ローテーションを回れるだろう。安定感のあるマルティネスに加え、新外国人のバーヘイゲンは楽しみな存在。杉浦稔大もいて、上沢直之が怪我から戻って来れば、かなりのメンバーだ。
田中瑛斗や吉田輝星、柿木蓮といった将来の有望株がキャンプ２軍スタートにできるのも、それだけの陣容がいるからだ。
一方のリリーバーも陣容は出来上がっている。クローザーは秋吉亮が務め、セットアッパーには宮西尚生が君臨する。ただ、秋吉、宮西とも勤続疲労の影響は否めない。
キャンプでは、第２、３の選手を探る必要がありそうだ。
右投手で候補となるのが、石川直也、玉井大翔の二人だ。
石川は高卒5年目になるが、2018年には19セーブを挙げるなどプロ入りからブルペンを担ってきた。クローザーを任された時期もあったのだが、まっとうできないことが少なくなく、もう一山を超えたい存在である。
玉井はプロ入りから３年、経験を積み重ねてきた。イメージとしては西武の平井克典と重なるが、重要な役割を担えるようになってきている。
サウスポーでは堀瑞輝に期待したい。
昨季までは、先発にこだわっていたが、オープナーを経験したのち、リリーバー専念を決めたという。もともと、タイプはリリーフ型だっただけに、どこまで存在感を示せるか。
取材・文●氏原英明（ベースボールジャーナリスト）
【PHOTO】艶やかに球場を彩るMLBの「美女チアリーダーズ」！
【著者プロフィール】
うじはら・ひであき／1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園という病』（新潮社）、『メジャーをかなえた雄星ノート』（文藝春秋社）では監修を務めた。
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想像できるラインナップは昨季とそれほど変わらない。
巨人から移籍したビヤヌエバがどれほどのパフォーマンスを見せるかは気になるところだが、今キャンプでの注目は５年目の平沼翔太が遊撃手のレギュラーを奪取できるか、そして、王柏融VS清宮幸太郎のDH争い、大田泰示VS中田翔による４番争いだ。
遊撃手のレギュラーは中島卓也が長く務めているが、昨季は91試合のスタメン出場で打率は.220、出塁率は.278とどちらも物足りない数字。下位打線から上位につながる９番打者だけに、守備力が高くても、そろそろ過渡期を迎えている。
そこで平沼の存在が気になってくるというわけだ。
平沼はプロに入って遊撃手に挑戦。バッティングは高校時代から出色のものだったが、守備もついてきたことで、楽しみな存在になっている。昨季、ブレークを果たすはずだったが、故障離脱。今季は開幕からのスタメンを狙う位置にいる。センバツ優勝投手だった彼がプロに入って遊撃手に転向して成功を収めれば、球団の育成部門にも評価が高まるだろう。
平沼の他球団同期には、高校時代に騒がれた遊撃手がいたが、未だレギュラー奪取には至っていない。そうした事情もいい宣伝効果になるだろうし、本人としても狙っているだろう。
守備力で見るなら、石井一成もレギュラー候補。スローイングに定評があるから、少々無理な打球でも簡単にさばける。堅実な中島に対抗できる。どこまで迫れるか。
台湾のスター王が君臨する指名打者には、2018年のゴールデンルーキー・清宮幸太郎が挑戦する。昨季は肘の手術などでシーズンを通して苦しんだ。しかし、そうした雌伏の期間は選手の成長につながるときもある。キャンプは２軍からのスタートになるが、入団初年度は苦しんだ王にどこまで迫れるだろうか。
４番問題も、このチームの課題だ。
昨季は中田翔がその座を譲るなどしたが、それに加えて、同じパワーヒッターの大田がイベントで「４番を狙う」と公言。二人の争いが始まった。おそらく、キャンプの紅白戦で彼らはチームが別々になって４番を務めるはずだ。熱い戦いになる。
投手陣は12球団の中でも上位を争うくらいの陣容が揃っている。
昨季最多勝の有原航平がいて、サウスポーの加藤貴之、金子弌大は先発に専念できれば、ローテーションを回れるだろう。安定感のあるマルティネスに加え、新外国人のバーヘイゲンは楽しみな存在。杉浦稔大もいて、上沢直之が怪我から戻って来れば、かなりのメンバーだ。
田中瑛斗や吉田輝星、柿木蓮といった将来の有望株がキャンプ２軍スタートにできるのも、それだけの陣容がいるからだ。
一方のリリーバーも陣容は出来上がっている。クローザーは秋吉亮が務め、セットアッパーには宮西尚生が君臨する。ただ、秋吉、宮西とも勤続疲労の影響は否めない。
キャンプでは、第２、３の選手を探る必要がありそうだ。
右投手で候補となるのが、石川直也、玉井大翔の二人だ。
石川は高卒5年目になるが、2018年には19セーブを挙げるなどプロ入りからブルペンを担ってきた。クローザーを任された時期もあったのだが、まっとうできないことが少なくなく、もう一山を超えたい存在である。
玉井はプロ入りから３年、経験を積み重ねてきた。イメージとしては西武の平井克典と重なるが、重要な役割を担えるようになってきている。
サウスポーでは堀瑞輝に期待したい。
昨季までは、先発にこだわっていたが、オープナーを経験したのち、リリーバー専念を決めたという。もともと、タイプはリリーフ型だっただけに、どこまで存在感を示せるか。
取材・文●氏原英明（ベースボールジャーナリスト）
【PHOTO】艶やかに球場を彩るMLBの「美女チアリーダーズ」！
【著者プロフィール】
うじはら・ひであき／1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園という病』（新潮社）、『メジャーをかなえた雄星ノート』（文藝春秋社）では監修を務めた。