MLB

FAイヤーを迎える田中将大。今後のキャリアを左右する2020年に果たすべき役割は?

宇根夏樹

2020.01.25

7年1億5500万ドルの契約最終年を迎える田中。去就も注目されるシーズンになりそうだ。(C)Getty Images

 田中将大がヤンキースと交わしている7年1億1550万ドルの契約は、今シーズンの終了とともに満了する。FAになるのと前後して、田中は32歳の誕生日を迎える。

 これまでの6年間は及第点と言っていい。メジャー1年目から6年連続2ケタ勝利を挙げ、2年目以降の5年間で4度開幕投手を務めた。また、ポストシーズン計8登板で5勝、防御率1.76と大事なところでしっかり結果を残している点も、口うるさいニューヨークの記者やファンから一定の評価を得ている。

 その一方で、年間200イニングをクリアしたことは一度もなく、直近3年の防御率は4.34と絶対的なエースと呼ぶには物足りない部分があるのも確か(最初の3年は3.12だった)。スタットキャストのデータを見ても、4シームやカッターの球速は4年連続で低下を続けている。さらに、球速だけでなく、スピン量や打球初速、ハードヒット率などもMLB平均を下回る。
 
 MLB.comのアンソニー・キャストロビンスは、1月20日に発表した記事で、2020年オフのFA選手ランキングで田中を15位に挙げた。日本ではこれを高評価と捉えているメディアも見受けられるが、田中の上には6人の先発投手がいる。しかもその中には、今オフのFAとなったゲリット・コールやスティーブン・ストラスバーグのような「超大物」は見当たらない。あくまでもキャストロビンス個人による評価で、これに全面的に賛同するわけではないが、その中で7番目の先発投手という順位はそう高くはない。

 それに、成績低下はもちろん、怪我で長期離脱でもするようなことがあれば、過去にも故障歴があるだけに市場の評価はグッと下がるだろう。今季の年俸2300万ドルの半額未満のオファーしか受けられない可能性もある。

 逆に、故障することなくシーズンを通して安定した投球を続け、これまでと同じように10月の大舞台でも活躍してワールドシリーズ優勝に貢献できれば、また評価も変わってくる。最近のMLBではベテランに逆風が吹いているが、田中のチームメイトでもあるJA・ハップは36歳で迎えた18年オフに2年3400万ドルの契約を手にしている。田中が同じような規模の契約を得ることも決して不可能ではないだろう。

 そう考えると、2020年は田中にとってキャリアを左右する大事なシーズンになりそうだ。

文●宇根夏樹

【著者プロフィール】
うね・なつき/1968年生まれ。三重県出身。『スラッガー』元編集長。現在はフリーライターとして『スラッガー』やYahoo! 個人ニュースなどに寄稿。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。
 
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