今年の横浜高は間違いなく強い。すでに3月18日から開催される第97回選抜高等学校野球大会の優勝候補の筆頭に、その名が挙げられている。
【画像】2024年ドラフト1位指名の選手たち 今年で創部80周年を迎える横浜。春夏合わせて36回の甲子園出場を誇り、そのうち5回の全国制覇という偉業を成し遂げている。その強い横浜を長い間手塩にかけてつくりあげてきたのが、渡辺元智監督と小倉清一郎部長の名コンビだった。松坂大輔(元西武、レッドソックスなど)、筒香嘉智(DeNA)をはじめ、多くのプロ野球選手も育て上げてきた。
そして、名伯楽ふたりの野球を引き継いでいるのが村田浩明監督だ。高校では保健体育の教諭を務める38歳である。
川崎北シニアから捕手として横浜で涌井秀章(中日)と同期となり第75回選抜甲子園大会で準優勝。大学は日本体育大へ。上級生になってからの2年間は母校・横浜の大学生コーチに専念。卒業後は教員免許をとり神奈川県の公立校の教師となる。スタートは県立霧が丘高の体育教諭となり、そこで野球部長と監督を経験。その後、県立白山高(神奈川)の監督。2018年夏の北神奈川大会でベスト8。ちょうどそのころ、横浜高野球部で指導の問題が起こり、母校・横浜に急遽監督として呼び戻される。
村田監督は、生徒とのコミュニケーションを前面に打ち出し、就任2年目で甲子園切符を手にした。1回戦では新庄高(広島)相手に5対2と監督として甲子園初勝利したものの、2回戦で智弁学園に0対5と敗退。翌年夏も県大会優勝、2年連続県代表で甲子園出場。初戦で三重高を4対3で下したが、続く2回戦では、今一つ勢いに乗れず、聖光学院(福島)に2対3で敗れ去り、前年と同じく2回戦負けとなってしまった。
続く2023年夏は県決勝で慶応高に、昨年夏は東海大相模高に敗れ、県大会も2年連続の敗戦。特に慶応戦では、塁上でのプレーをめぐって納得できず、スッキリしない形でゲーム続行となったためか、逆転負けにつながり、涙の敗退となった。
「なんで大事なところで勝てないのだろう。選手たちは一生懸命にやっているのに。練習を通じて対策は充分にしてきたのに…」。最後の詰めが甘いのだろうか。村田監督は悩みに悩んだ。試行錯誤を巡らせているうちに、夜が明けていることも何度かあった。
「もっと冷静に、こうと決めたら途中で変更するのは辞めよう」“ブレないこと”が大事だと、野球に限らずその世界の頂点を極めた人たちの講演会にも聴きに行った。本も読み漁った。その結果、「冷静でなくてはいけない監督が選手以上に勝ちにこだわりすぎていた」ということに思い至った。
「甲子園出場だけしか、考えていない自分にハッと気が付いた。“横浜高校”の名前に負けている。これでは、勝てない。自分の野球をしよう。野球は点取りゲームなので、勝つこともあれば負けることもある。もう少し違う観点から見れば、見える景色が変わってくるはず。当然野球への取り組み方、考え方も変わってくるはず。野球至上主義から一歩離れたところから、選手たちと野球するのもいいんじゃないだろうか。選手たちは、自分以上のプレッシャーを感じすぎて、それがプレーに生かされてこない。選手自身に考えさせ、思い切ってプレーさせることが必要だ」
これで村田監督自身も吹っ切れた。昨秋スタートの新チームは、負けなしが続いている。目下、公式戦15連勝中だ。
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そして、名伯楽ふたりの野球を引き継いでいるのが村田浩明監督だ。高校では保健体育の教諭を務める38歳である。
川崎北シニアから捕手として横浜で涌井秀章(中日)と同期となり第75回選抜甲子園大会で準優勝。大学は日本体育大へ。上級生になってからの2年間は母校・横浜の大学生コーチに専念。卒業後は教員免許をとり神奈川県の公立校の教師となる。スタートは県立霧が丘高の体育教諭となり、そこで野球部長と監督を経験。その後、県立白山高(神奈川)の監督。2018年夏の北神奈川大会でベスト8。ちょうどそのころ、横浜高野球部で指導の問題が起こり、母校・横浜に急遽監督として呼び戻される。
村田監督は、生徒とのコミュニケーションを前面に打ち出し、就任2年目で甲子園切符を手にした。1回戦では新庄高(広島)相手に5対2と監督として甲子園初勝利したものの、2回戦で智弁学園に0対5と敗退。翌年夏も県大会優勝、2年連続県代表で甲子園出場。初戦で三重高を4対3で下したが、続く2回戦では、今一つ勢いに乗れず、聖光学院(福島)に2対3で敗れ去り、前年と同じく2回戦負けとなってしまった。
続く2023年夏は県決勝で慶応高に、昨年夏は東海大相模高に敗れ、県大会も2年連続の敗戦。特に慶応戦では、塁上でのプレーをめぐって納得できず、スッキリしない形でゲーム続行となったためか、逆転負けにつながり、涙の敗退となった。
「なんで大事なところで勝てないのだろう。選手たちは一生懸命にやっているのに。練習を通じて対策は充分にしてきたのに…」。最後の詰めが甘いのだろうか。村田監督は悩みに悩んだ。試行錯誤を巡らせているうちに、夜が明けていることも何度かあった。
「もっと冷静に、こうと決めたら途中で変更するのは辞めよう」“ブレないこと”が大事だと、野球に限らずその世界の頂点を極めた人たちの講演会にも聴きに行った。本も読み漁った。その結果、「冷静でなくてはいけない監督が選手以上に勝ちにこだわりすぎていた」ということに思い至った。
「甲子園出場だけしか、考えていない自分にハッと気が付いた。“横浜高校”の名前に負けている。これでは、勝てない。自分の野球をしよう。野球は点取りゲームなので、勝つこともあれば負けることもある。もう少し違う観点から見れば、見える景色が変わってくるはず。当然野球への取り組み方、考え方も変わってくるはず。野球至上主義から一歩離れたところから、選手たちと野球するのもいいんじゃないだろうか。選手たちは、自分以上のプレッシャーを感じすぎて、それがプレーに生かされてこない。選手自身に考えさせ、思い切ってプレーさせることが必要だ」
これで村田監督自身も吹っ切れた。昨秋スタートの新チームは、負けなしが続いている。目下、公式戦15連勝中だ。
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