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【玉木正之のベースボール今昔物語:追悼・長嶋茂雄特別寄稿】日本野球史上最も素晴らしいベースボール・プレーヤーに聞き逃したこと<SLUGGER>

玉木正之

2025.06.05

長嶋なくして日本のプロ野球は語れない。選手として、監督として我々を魅せ続けてくれたミスタープロ野球よ、永遠なれ……。(C)Getty Images

長嶋なくして日本のプロ野球は語れない。選手として、監督として我々を魅せ続けてくれたミスタープロ野球よ、永遠なれ……。(C)Getty Images

 6月3日。長嶋茂雄さんが89歳で逝去された。どんな偉大な人物にも避けられない最期が訪れる。それはしかたのないことだ。

 振り返れば、雑誌記者として『GORO』(小学館)、『Number』(文藝春秋)、『スポーツ・ヤァ!』(角川書店)などで合計7度のロング・インタビューをさせていただき、ジャイアンツの春の宮崎キャンプや、「地獄のキャンプ」として今や伝説と化した伊東キャンプ(1979年)、そして後楽園球場や東京ドーム、その他の野球場で取材させていただいたスポーツライターとしては、思い出されることが止めどなく次々と脳裏に去来する。

 それらの中味は『定本・長嶋茂雄』という一冊の本にまとめ(ネスコ出版・1989年刊/文春文庫への文庫化は1993年)、長嶋茂雄さん逝去の報を聞き、テレビ(TBS『ひるおび』)やラジオ(RKB毎日放送『玉木正之のキャッチアップ』)でも長嶋さんの想い出を語り、地方紙(京都新聞)の取材も受け、自分のホームページにもイロイロ書かせていただいた(まだ今後もスポーツライターの小林信也氏との対談などを予定している)。

 それらは今でも書籍やネットで、読んだり、見たり、聞いたりできるので、興味のある人は是非ともアクセスしてほしい。が、今、私の心の奥には、一つの大きな疑問が巨大なブラックホールのような渦を巻いている。
 
 ここで、その疑問を初めて披露することにしたい。

 その大きな疑問によく似た疑問を、私は直接長嶋さんにぶつけたことがあった。

 それは2000年10月。長嶋茂雄監督率いる読売ジャイアンツvs王貞治監督率いる福岡ダイエーホークス(現ソフトバンク)の日本シリーズ、いわゆる「ON決戦」が開幕する10日前くらいに、長嶋さんにロングインタビューする機会を得た時のことだった。

 3年前に清原和博をFAで得たジャイアンツは、その年に広島カープの4番打者江藤智も獲得。松井秀喜、高橋由伸に、清原、江藤を加えた強力打線に加えて、前年までダイエーのエースだった工藤公康とも契約していた。

 大量補強に「何でも欲しがる長嶋さん」と揶揄されていたが、実情としては球団オーナーの渡邊恒雄氏が辣腕を発揮し、巨人を全面的にバックアップする強力な態勢を敷いていた。強引とも言えるやり方は、古くは「別所引き抜き事件」(1949年に南海ホークスの大エース別所毅彦投手を巨人が「引き抜いた」事件)や、江川卓投手のドラフトの「空白の一日事件」と並ぶ、「巨人の横暴」と非難する声も高かった。

 そこで私は長嶋監督に「ON決戦」に対する意気込みなどを聞いた最後に、巨人が他球団の有力選手をかき集めるやり方は、いくら何でも少々やりすぎではないか……とぶつけてみた。
 
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