杉澤龍(オリックス)が打席に入る際に流れる曲は『スパルタンX』。プロレスリングNOAHの創業者で、一時代を築いたプロレスラー・三沢光晴の入場テーマだ。杉澤自身、ぶつかり合いの美学を貫いた"王道プロレス"が好きで、学生時代には仙台まで試合を観に行ったこともある。
【写真】球場を盛り上げるオリックス・バファローズ球団公式ダンス&ヴォーカルユニット 「BsGravity」を特集!
「プロレス好きなの?」と聞いた時の、「めっちゃ好きです!」と答えた目の輝きを今でも鮮明に覚えている。昨年は「三沢光晴メモリアル2024」記念タオルも購入し、自宅に飾っているという。
6月5日の広島戦、ようやく巡ってきた今季初スタメンの初打席。登場曲はもちろん『スパルタンX』だ。
「思い切って行った」という初球をレフト前に運び、プロ初打点をマーク。二塁ベース上で拳を突き上げた。初のヒーローインタビューでは「レギュラー取ります」という言葉以上に、彼の強い決意がにじみ出ていた。
不退転の覚悟で挑んだシーズンだった。
東北福祉大では大学日本代表に選ばれ、4年春のリーグ戦では打撃三冠。球団スカウトから「天才的なバットコントロール」と評された打撃センスを武器に、22年ドラフト4位指名で入団。自信を持ってプロの世界に飛び込んだが、その後は思うような結果が出ない日々が続いた。
注目を集めたのは、昨年5月1日のロッテ戦(ほっともっと神戸)だ。初回2アウト満塁の場面、センターでのダイビングキャッチ。外野を抜ければ大量失点という場面で、立ち上がりピンチの田嶋大樹を救った。中嶋聡前監督時代の首脳陣も「お前の守備が通用するのは分かった」と高く評価した。
ただ、打席でのアピールの機会はなかなか訪れなかった。「今まで(プロに入るまで)打つことで悩んだことなんかなかったのに」ポロッとこぼれた言葉に、もがき苦しむ姿がにじんでいた。 打撃フォームを変え、自分のスタイルを模索する日々。それでも、もっと何かを変えなければいけない。そう強く感じた昨シーズンだった。
オフの契約更改では、打ち負けない身体を作るために増量を宣言。チームメイトの西川龍馬を通じ、それまで面識のなかったソフトバンク・栗原陵矢の自主トレに参加することになった。
「前にPayPayドームで栗さんのホームランを目の前で見たんすよ。エグいなぁって。栗さんの自主トレって(興味はあったけど)あまり(内容とかを)聞いたことなかったし、龍馬さんにちょっと(栗原さんに)聞いてもらえないですかって頼んだら、いいよって」
栗原との出会いが、杉澤を大きく変えた。
「マジで地獄(笑)。キツかったっす」午前中は食事トレーニング、ウエイト、ピラティスにラン。「ウエイトがキツすぎて、足プルプル(震えて)。最初の1クール目、野球どころじゃなかったです(笑)」午後は技術練習。自主トレ期間中に6kg増量し、そこからさらに動ける身体を目指して3kg絞ったという。
「自分をあそこまで追い込める人(栗原選手)はなかなかいない。あれだけ(過酷な自主トレを一緒に)やったら、絶対自信はつきますね」
堂々と語る姿、目の輝きは昨年までとはまったく違っていた。
技術面でも変化があった。「(今までとは)真逆のことやってるんで。去年までだと上から(最短距離でボールを)叩く。でも今は後ろからラインを作って、身体を止めずに回す。それも最短距離って教わりました。簡単に言ったら後ろからめっちゃボール見れているんです」
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「プロレス好きなの?」と聞いた時の、「めっちゃ好きです!」と答えた目の輝きを今でも鮮明に覚えている。昨年は「三沢光晴メモリアル2024」記念タオルも購入し、自宅に飾っているという。
6月5日の広島戦、ようやく巡ってきた今季初スタメンの初打席。登場曲はもちろん『スパルタンX』だ。
「思い切って行った」という初球をレフト前に運び、プロ初打点をマーク。二塁ベース上で拳を突き上げた。初のヒーローインタビューでは「レギュラー取ります」という言葉以上に、彼の強い決意がにじみ出ていた。
不退転の覚悟で挑んだシーズンだった。
東北福祉大では大学日本代表に選ばれ、4年春のリーグ戦では打撃三冠。球団スカウトから「天才的なバットコントロール」と評された打撃センスを武器に、22年ドラフト4位指名で入団。自信を持ってプロの世界に飛び込んだが、その後は思うような結果が出ない日々が続いた。
注目を集めたのは、昨年5月1日のロッテ戦(ほっともっと神戸)だ。初回2アウト満塁の場面、センターでのダイビングキャッチ。外野を抜ければ大量失点という場面で、立ち上がりピンチの田嶋大樹を救った。中嶋聡前監督時代の首脳陣も「お前の守備が通用するのは分かった」と高く評価した。
ただ、打席でのアピールの機会はなかなか訪れなかった。「今まで(プロに入るまで)打つことで悩んだことなんかなかったのに」ポロッとこぼれた言葉に、もがき苦しむ姿がにじんでいた。 打撃フォームを変え、自分のスタイルを模索する日々。それでも、もっと何かを変えなければいけない。そう強く感じた昨シーズンだった。
オフの契約更改では、打ち負けない身体を作るために増量を宣言。チームメイトの西川龍馬を通じ、それまで面識のなかったソフトバンク・栗原陵矢の自主トレに参加することになった。
「前にPayPayドームで栗さんのホームランを目の前で見たんすよ。エグいなぁって。栗さんの自主トレって(興味はあったけど)あまり(内容とかを)聞いたことなかったし、龍馬さんにちょっと(栗原さんに)聞いてもらえないですかって頼んだら、いいよって」
栗原との出会いが、杉澤を大きく変えた。
「マジで地獄(笑)。キツかったっす」午前中は食事トレーニング、ウエイト、ピラティスにラン。「ウエイトがキツすぎて、足プルプル(震えて)。最初の1クール目、野球どころじゃなかったです(笑)」午後は技術練習。自主トレ期間中に6kg増量し、そこからさらに動ける身体を目指して3kg絞ったという。
「自分をあそこまで追い込める人(栗原選手)はなかなかいない。あれだけ(過酷な自主トレを一緒に)やったら、絶対自信はつきますね」
堂々と語る姿、目の輝きは昨年までとはまったく違っていた。
技術面でも変化があった。「(今までとは)真逆のことやってるんで。去年までだと上から(最短距離でボールを)叩く。でも今は後ろからラインを作って、身体を止めずに回す。それも最短距離って教わりました。簡単に言ったら後ろからめっちゃボール見れているんです」
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