専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
MLB

ヘルナンデス、ホランドにサンドバル…マイナーからスタートするかつての名選手たち

宇根夏樹

2020.02.10

ブレーブスと契約したヘルナンデスは、今オフにマイナー契約を交わした選手の中では最大の大物だ。(C)Getty Images

ブレーブスと契約したヘルナンデスは、今オフにマイナー契約を交わした選手の中では最大の大物だ。(C)Getty Images

 今オフにマイナー契約を交わした選手の中で、最高のビッグネームと言えば、投手か野手かを問わず、この人をおいて他にいない。プロ以来ひと筋に過ごしてきたマリナーズからFAとなり、1月にブレーブスと契約したフェリックス・ヘルナンデスだ。

 2000年代の終盤から10年代の半ばにかけて、ヘルナンデスはニックネームの“キング”に違わぬ投球で、マウンドに君臨し続けた。09~15年の計1596.0イニング(平均228.0イニング)は誰よりも多く、防御率2.83は1000イニング以上の3位。防御率の1位と2位、クレイトン・カーショウ(ドジャース/2.30)とアダム・ウェインライト(2.80)はナ・リーグで投げていたので、ア・リーグではヘルナンデスがベストだった。

 10年と14年は防御率のタイトルを獲得し、10年はサイ・ヤング賞も受賞した。オールスター・ゲーム選出は6度。何より、ホームのセーフコ・フィールド(現T-モバイル・パーク)で投げる日には、レフトポール際に“キングス・コート(キングの庭)”が設えられ、黄色いTシャツを着て黄色いKボードを手にしたファンが、ヘルナンデスの快投に酔いしれた。
 
 けれども、凋落は予想外に早く訪れた。開幕直後に30歳を迎えた16年以降は、度重なる故障に見舞われ、200イニングどころか規定投球回に達したシーズンも皆無だ。防御率は年々悪化し、19年は6点台に突入した。今年4月で34歳の年齢からすれば、健康を取り戻せば復活――エースとまではいかずとも――もありそうに思えるかもしれないが、ヘルナンデスの場合、速球の球速が平均90マイル未満まで下がり、変化球のキレも落ちている。

 ブレーブスは5月29~31日にT-モバイル・パークで試合を行うが、ヘルナンデスがシアトルのファンの前で再び投げる可能性は、残念ながら現時点では低い。開幕までにブレーブスを退団していても、不思議ではない。

 ヘルナンデスの他にも、オールスター・ゲームに2度以上選ばれたことのある35歳未満の選手では、選出3度のグレッグ・ホランド(ロイヤルズ)、2度のパブロ・サンドバル(ジャイアンツ)とジョシュ・ハリソン(フィリーズ)らが、マイナー契約からスタートする。

 また、オールスター選手ではないが、ヨルマー・サンチェス(ジャイアンツ)は、19年にホワイトソックスの二塁手としてゴールドグラブを受賞したにもかかわらず、オフに40人ロースターから外され、FAとなってジャイアンツとマイナー契約を交わした。サンチェスは年齢も27歳と若いが、あまりにも打てなさすぎる。19年のOPS.638はリーグワースト2位。本塁打は2本しかなく、規定打席に達しながら5本未満は、両リーグで彼しかいなかった。

文●宇根夏樹

【著者プロフィール】
うね・なつき/1968年生まれ。三重県出身。『スラッガー』元編集長。現在はフリーライターとして『スラッガー』やYahoo! 個人ニュースなどに寄稿。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

【PHOTO】艶やかに球場を彩るMLBの「美女チアリーダーズ」!

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号