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プロ野球

評価急上昇の楽天高卒ルーキー・黒川史陽。泰然自若のスラッガーが見せた1ミリ、1グラムのこだわり

田口元義

2020.02.27

 本来ならば、久米島の一次キャンプ終了後、二軍に合流する予定だったが、金武町での二次キャンプにも帯同した。そして、練習試合やオープン戦でチャンスを与えられている。

「実戦でどれだけのことができるか見たい」
 
 そう思わせるだけの素質があったと言わんばかりに、三木肇監督が黒川を評する。

「高卒なのにあれだけバットを振れるのは珍しい。大したもんです。18歳でプロの一軍のなかに入って、バッティングやノックをして見劣りしないのは。これから、いろんな経験をしていくだろうけど、いろいろ考えながら野球を勉強してもらいたいですね」

 さらに指揮官は、おもむろにこう続けた。
 それは、黒川の将来を想像させるには、実に明確な比喩だった。

「僕がヤクルトの二軍コーチだった18年に村上(宗隆)が入団してきたんですけど、体がまだまだ引き締まっていなかった。黒川もこれからしっかり絞っていけば……ね」
 
 少しのリップサービスもあるだろうし、高卒1年目の選手に対しては早計でもあるが、指揮官も黒川の大器の片鱗を認めてはいる。

 だからこそ、確認したかった。

 村上のような打者になる力を秘めている――そんな趣旨の質問を、黒川に投げかける。

 笑みもなければ、「そんなことないっす」と、謙虚に振舞うこともない。他の質問と同じように、淡々と返す。

「今は、自分のことで精一杯なんで」

 大器は、堂々と佇んでいた。

取材・文●田口元義

【著者プロフィール】
たぐち・げんき/1977年生まれ。野球を中心に雑誌やウェブサイトに寄稿。2019年2月に「負けてみろ。 聖光学院と斎藤智也の高校野球」(秀和システム刊)を上梓した。

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