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プロ野球

「恩返しや元気を与えられる存在になりたい」ソフトバンク育成の尾形崇斗、震災9年目に新たにした想い

上杉あずさ

2020.03.13

 登板を重ねるたびに、疲れるどころか身体の状態は上がってきているという。日々、昨日の自分を越えていくためにストイックに取り組み続けている。その姿勢には周囲も感心するばかりだ。

 闘争心溢れるマウンドさばきで、強気の投球ができるところが尾形の魅力だが、その姿とは打って変わって、マウンドを下りたら人懐っこく可愛らしい20歳。昨秋のフェニックスリーグでは「5イニングで12個三振とりました!」と笑顔で好調さを報告してきてくれた。自分の取り組みや成果をいつも丁寧に話してくれる。

 また、入団当初から昨季まで3軍投手コーチとして指導してくれた入来祐作さんをとても慕っていた。フェニックスリーグ中に入来さんの退団を知った尾形は悲しみが溢れ、泣きながら練習したという。ずっと支えてくれた入来さんに「1軍で投げる姿を見せて恩返しをしたい」という気持ちも原動力になっている。
 
 新型コロナウイルスの感染拡大が進み、プロ野球の開幕が延期となった。本来であれば、工藤公康監督が「彼にとって素晴らしい1年になるんじゃないか」とほのめかしているように、3月20日の開幕を前に吉報が届くのではないかと期待感が高まっていた。ところが、開幕がいつになるのかわからない状況となり、モヤモヤする日々が続いている。

「1年を通して、恩返しや元気を与えられる存在になりたい」

 自身の夢だけでなく、誰かのために投げるという想いを強くした2020年3月11日――。
 1日も早く2桁の背番号を勝ち取って、日本中に元気を与える魂込もった雄叫びを聞かせて欲しい。

取材・文●上杉あずさ(タレント)

【著者プロフィール】
ワタナベエンターテインメント所属。RKBラジオ「ホークス&スポーツ」パーソナリティやJ:COM九州「ガンガンホークス CHECK!GO!」リポーターとしてホークスを1軍から3軍まで取材。趣味はアマチュア野球観戦。草野球チーム「福岡ハードバンクポークス」の選手兼任監督を務める。
 

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