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プロ野球

長打だけじゃない! 首位攻防3連戦で見えてきた山賊打線の“もう一つの脅威”

氏原英明

2019.09.02

 そして、千賀はストレートを投げ、浅村はそれを仕留めた。左翼スタンドに飛び込む3点本塁打で試合は決まった。

 千賀の意図は、自慢のストレートで源田の盗塁を防ぐとともに、浅村を詰まらせて併殺打に取るというものだったはずだ。しかし、ボールは狙いよりやや甘く入り、浅村はそれをひっぱたいたというわけである。

 実は、この時、源田に盗塁の意思はほとんどなかった。

 “山賊打線”と言われる西武の隠れた脅威は、源田のような駆け引きができるスピードスターがいることだ。

 源田がこう語っていたことがある。

「なんでもかんでもがむしゃらに盗塁をするというわけではありません。盗塁1つでも、カウントとか相手投手のタイプを見ながら、『ここはストレートを投げさせた方がいい』という時は走らないです。考えながら走るようになりました」
 盗塁は「バッテリー対走者」の戦いと言われるが、局面ごとにその構図は変化していく。バッテリーが打者に集中すれば、走者が有利に働くし、走者を意識すれば、打者への意識は薄れる。源田が走者であることで、さまざまな作用が生まれるのだ。特に、長打力のある打者が中軸に控える西武打線との対戦で、打者との勝負に集中できない事態は、投手にとって危険極まりない。

 話を週末の8月30日の第1戦に戻すと、この試合、源田は1打席目に出塁すると、2死から4番・中村剛也の打席で盗塁を成功させている。通算100個目となるメモリアルのスチールだった。

 その後、試合は膠着して、2−2の同点で推移し、7回の局面を迎えた。

 1点がゲームを決める展開、2死一塁で走者は源田、打席に森を迎えた。
 千賀のストレートを森が見逃さなかった。それが冒頭も書いたこの試合の決着シーンだった。

 源田は言う。

「この時は盗塁をする気はなかったですね。ああいう試合展開で、終盤に入って盗塁がアウトになったら、流れは相手に行くし、慎重な気持ちでいました」

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