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プロ野球

「反逆者」と呼ばれた男たちが切り拓く日本球界の未来【3】「自分が成長できる方を取っただけ」田澤純一が今、明かす渡米の理由

氏原英明

2020.05.24

 話を戻す。田澤にこちらの取材意図を伝えると、快く協力してくれた。まず、高卒即メジャー行きを口にする選手が現れたことについて尋ねた。

「天理の選手についてですよね。今、若者が目指しているところにNPBもあれば、メジャーリーグもある。選択肢が増えたということじゃないのかなと思います。僕らの時代は、野茂英雄さんやイチローさん、松井秀喜さんを見てメジャーを知るようになりましたけど、今の高校生たちは当たり前にメジャーを見ることができる。高校生でもメジャーに来たいと思うのは必然なんじゃないかなと思います。サラリーマンだって海外で仕事をするわけだし、サッカー界では久保(建英)くんがスペインに行くと『頑張ってこいよ』って報道のされ方をするじゃないですか。でも、野球界では『田澤ルールだ』と言われるのは少し残念だなって思います」

 もっとも、田澤はメジャーが優れていて日本が劣っているという捉え方をしてきたわけではない。「今年はアダム・ジョーンズが日本へ行きましたよね。アメリカからもスーパースターが行く時代。日本の野球が認められているっていうことでしょう」
 そもそも田澤自身、メジャーへの憧れからアメリカ行きを決意したわけではなく、当初は日本でプレーすることを考えていた。ただ、自身の将来設計を描く中で日本とアメリカの違いを感じ、その時点ではアメリカに渡る方が得策と考えたのだ。

「違い」とは、具体的に言えば育成方針だ。

「僕は3年契約でこっちに来たんですけど、最初からメジャーの舞台に立てると思ったわけじゃないんですよ。社会人から日本のプロに行く場合は『即戦力』という見られ方をする。でも、当時の僕はその自信がなかった。自分がどうやったら成長できるかという観点で考えた時に、じっくり育ててくれるのがアメリカの方でした。誤解されているので理解してもらいたいのですが、僕はNPBが下でメジャーが上と見ているわけではなくて、その時の自分が成長できる方を取っただけなんです。それなのに、『調子に乗っている』と変な風に捉えられてしまったのが事実なんです」

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