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プロ野球

「反逆者」と呼ばれた男たちが切り拓く日本球界の未来【3】「自分が成長できる方を取っただけ」田澤純一が今、明かす渡米の理由

氏原英明

2020.05.24

 これまであまり語られてこなかった事実だが、元々が慎重だった田澤にとっては、日米の育成方針の違いは大きなものだった。アメリカに来ることで、じっくり力を積み上げることができた。その結果が、2013年にセットアップとしてワールドチャンピオンに輝くというところにまでつながっているのだ。

 田澤はこんなことも言っている。
「今、日本の選手たちの多くがオフにアメリカに来てトレーニングをしていますよね。それはつまり、アメリカがやっていることを認めているんじゃないの? って思うんです。トレーニングはどうやって上手くなるかを考えてメニューは作られている。いいところは認めて吸収しつつ、日本は日本でいいところがあるわけですから、それが世界に通じるものにできたらいいんじゃないでしょうか。お互いのいいところを認め合うことが大事なんじゃないかなと思います」

 日本の選手を獲得しようとするアメリカの姿勢を、紳士協定を縦に非難したり、アマチュア選手の海外挑戦にルールを決めたりすることがいかに愚かであるか痛感させられる。
 今回のこの企画のルーツは2009年にさかのぼる。その年、当時・花巻東の菊池雄星がメジャー挑戦を封印してプロ野球入りを表明する際に会見で号泣した。彼のその後の野球人生を追いかける中で、アマチュア選手が直接アメリカに渡ることについて深く考えるようになったのだ。

 菊池、吉川、田澤の取材から最も強く感じたのは、海外挑戦を目指す選手を悪者扱いしたり、心ない批判を浴びせたりすることは球界の発展を妨げるということだ。

 菊池は「子供の夢を邪魔する存在は身近にいる」と言った。吉川は「勉強していない人が人生の選択に関わるべきではない」と言った。そして、田澤はこう願いを込めた。

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