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プロ野球

【現役スター名場面5選:山田哲人】応援歌・“新たな時代”を自ら体現し、プロ1年目から数々の記録を作り上げる天才打者

新井裕貴(SLUGGER編集部)

2020.05.23

決勝の韓国戦で逆転3ラン。感情が昂ぶって拳を挙げるのも納得の、最高の場面での仕事だった。 写真●金子拓弥(THE DIGEST写真部)

決勝の韓国戦で逆転3ラン。感情が昂ぶって拳を挙げるのも納得の、最高の場面での仕事だった。 写真●金子拓弥(THE DIGEST写真部)

▶3位 日本に歓喜をもたらしたプレミア12決勝の逆転3ラン
(2019月11月17日・韓国戦/東京ドーム)

「やってやった」。思わず山田が拳を固く握りしめた。昨年11月に行われた「プレミア12」決勝。宿敵・韓国との大一番で、最高の仕事をやってのけた男は感情を露わにした。

 第1回大会の準決勝で敗れた韓国との因縁の一戦、日本は初回に3点を先行される。しかし、その裏に1点を返すと2回にも打線がつながって2死一・二塁として山田に打席が回った。2ストライクに追い込まれた後も、相手エースの決め球をことごとくカット。そして迎えた8球目、「真っ直ぐだろうな」との読み通り、インコースに来た速球をフルスウィング。打球は左翼スタンドに吸い込まれ、東京ドーム中を、いや日本中を興奮させる逆転3ランとなった。

 完璧な野球選手が、完璧すぎる場面で、完璧な仕事を完遂してみせた。準決勝まで打率.176と不振にあえいでいたことは、今では誰も覚えていないだろう。

▶2位 WBCでの“幻”のホームランが証明した山田の優しさ
(2017年3月7日・キューバ戦/東京ドーム)

 第4回WBC1次ラウンドのキューバ戦、1対1で迎えた4回裏、山田のタイムリーツーベースで日本は勝ち越しに成功した。しかし、球場で、あるいはテレビで試合を見ていた人なら、この一打が単なる二塁打以上の価値を持っていることを知っているはずだ。

 山田が放った打球は左中間スタンド最前列に飛び込んだ、本来ならホームランになるはずだったが、ある少年ファンが興奮してしまったのか、身を乗り出してグラブで打球をキャッチしてしまった。これによりスタンドインが認められず、「二塁打」となったのだ。この時点では僅差の試合展開だったこともあり、その直後から少年ファンはインターネット上で猛バッシングを浴びてしまった。

 試合後、山田は少年が落ち込んでいることを知り、次のようなメッセージを送った。「僕は全然気にしてない。だから野球を嫌いにならず、またグラブを持って応援に来てほしい」「これも何かの縁だし、将来プロ野球選手になって、一緒に『あんなことがあったね』と懐かしい話ができるように頑張ってほしい。僕も完璧な本塁打を打てるように頑張ります」。

 山田が見せた心遣いのおかげで、ネット上での騒動は瞬く間に鎮静化した。これまで200本以上のホームランを打ってきた山田にとっても、この“本塁打”はとりわけ記憶に残るものになったはずだ。
 
▶1位 日本シリーズ史上初の3打席連発の快挙達成!
(2015年10月27日・ソフトバンク戦/神宮球場)

 15年、山田は打率.329、38本塁打、100打点、34盗塁、OPS1.027をマーク。本塁打王・盗塁王・最高出塁率のタイトルを獲得し、打率&打点はリーグ2位という驚愕の成績でヤクルトを14年ぶりのリーグ優勝に導いた。迎えた日本シリーズでは、同じくこの年に「トリプルスリー」を達成した柳田悠岐擁するソフトバンクと対戦。結果的にヤクルトは1勝4敗で完敗してしまったが、球界最強のホークスに一矢報いたのは他でもない山田のバットだった。

 第3戦の初回、山田は2-2から中田賢一の甘く入ったスライダーを捉え、バックスクリーンに先制2ランを叩き込む。2点を追いつかれた3回裏の第2打席目、今度は1ボールからストライクを取りに来た速球をセンター左寄りに放り込んだ。5回、3対4と1点リードされた展開で3打席目が回ってきた。2死一塁、相手は千賀滉大。3ボール1ストライクからの5球目だった。山田はインコースの速球に身体をくるりと回転させて反応。打球はレフトスタンドへ届き、日本シリーズ史上初の3打席連続ホームランを成し遂げたのだった。

「スタンド 越えて打球は遥かな 夢へと続く 行け山田 新たな時代を」

 日本で最も有名な応援歌と言ってもいいこの歌詞を、そのまま現実にしたような、あまりにも見事な活躍だった。

 山田はこれ以外にも「新たな時代を」作り上げている。史上唯一のトリプルスリー複数回達成、日本人右打者シーズン最多193安打(14年)プロ野球新記録の38機会連続盗塁成功(19年)、日本人最長の12試合連続打点(17年)……彼にマイルストーンがついてくるのか、それともマイルストーンが山田を追っているのか。いずれにしても、今後も山田は数多くの名場面を生み出してくれることだろう。

構成●新井裕貴(SLUGGER編集部)
 
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