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プロ野球

【2010年代通信簿:ヤクルト】球史に残る強打者を2人輩出しながらも投手陣の低迷で最下位4度

城ノ井道人

2020.06.07

 13年に小川泰弘が最多勝&新人王に輝いたことを思うと、由規と館山の故障がなければチームの10年代は大きく違っていただろうと思わざるを得ない。振り返れば、先発防御率は10年にリーグ2位を記録したのを最後に続く9年間は5位、6位と低迷。このため、チームの躍進パターンはリリーフ陣がフル回転で好調の時と決まっていた。14年ぶりのリーグ優勝を果たした15年はセーブ王に輝いたトニー・バーネットを中心に秋吉亮、ローガン・オンドルセクが強力ブルペンを形成。2位になった18年も石山泰稚が71試合で防御率2.08、35セーブと大車輪の活躍を見せた。

 ドラフトに目を向けると、山田や昨年、本塁打と打点で高卒2年目選手の新記録を打ち立てた村上宗隆など超のつく成功例もある一方、全体としては芳しくない結果に終わっている。特に11年、14年のドラフトは育成含めて合計16人を指名しながら、一軍の戦力になった選手はほぼ皆無だった。
 
 だが、最優先で改善すべきは故障者対策だろう。投打関係なく頻繁に故障者を出し“ヤ戦病院”と揶揄されることもたびたび。古くは1980年代の荒木大輔や90年代の伊藤智仁、前述した館山らと故障で終わってしまう選手が多いのは球団の悪しき伝統だ。

 本拠地の神宮はアマチュア野球の聖地でもあり、ファームも含めた練習施設の充実度は他球団と比べて見劣りする状況。そのことも育成の成果に影響しているのかもしれない。昨年のドラフトで獲得した奥川恭伸という金の卵を故障から守り、開花させることができるか。その成否がヤクルト新時代への一つの指標となるかもしれない。

文●城ノ井道人

【著者プロフィール】
しろのいみちと。会社勤めの後、渡米してMLB記者として全米を飛び回る。。日米問わず若手有望株への造詣が深く、仲間内で「日本版ファンタジーリーグ」を毎年、開催して次代のスター発掘に余念がない。

【ヤクルトPHOTO】「NEVER STOP 突き進め!」無観客試合でも元気ハツラツにプレーするナイン!
 
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