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高校野球

球数制限は何のためにあるのか。「中1日で奥川」を求めるメディアも含めて再考すべき

氏原英明

2019.09.06

 105球未満に抑えたことで、奥川を中1日で明後日の試合に投げさせることはできる。だが、ルール上はそうであっても、この世代の投手にとって何が最良なのか、今一度、深く議論されるべきだろう。

 現地を視察していたスカウトによれば、この日、野手としてスタメン出場していた宮城大弥(興南高)、西純矢(創志学園高)にもブルペンで準備させていたという。

 今日の韓国戦に勝てば、決勝進出に向けて大きな前進になるが、勝利だけに固執した今の投手起用法を見ていると、なにより不安が先行する。たとえ優勝できたとしても、将来に大きな代償を払う可能性も見えてきた。

 今大会におけるU-18日本代表の成長ぶりは、過去の大会では見られないものだ。他の国の投手のレベルがやや低いとはいえ、過去に苦戦を強いられた木製バットへの対応にも進化を感じる。

 
 だが、投手起用では、さるスカウトの言葉を借りれば、「圧倒的な投手陣」であるにもかかわらず、将来に傷がつくかもしれない危険と隣り合わせの起用を続けている
 
 何のための「球数制限」ルールなのか。
 
 「奥川は中1日で投げられる」と報じているメディアを含め、改めて考え直すべきだろう。
 
文●氏原英明(ベースボールジャーナリスト)
 
【著者プロフィール】
うじはら・ひであき/1977年生まれ。日本のプロ・アマを取材するベースボールジャーナリスト。『スラッガー』をはじめ、数々のウェブ媒体などでも活躍を続ける。近著に『甲子園という病』(新潮社)、『メジャーをかなえた雄星ノート』(文藝春秋社)では監修を務めた。
 

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