早晩、この暗黙のルールは消え去りそうな勢いだ。そのきっかけをタティースJr.が作ったのは偶然ではないのかもしれない。メジャー２年目にして、タティースJr.は早くも球界の顔になろうとしている。21歳の若さとあふれる才能だけでなく、ワイルドなルックスやドレッドヘアなど佇まいも、いかにも新時代のスターという趣。先日はスポーツ専門局『ESPN』の電子版でも大々的な特集が組まれた。

  　また、タティースJr.自身も認めているように、父がメジャーリーガーだったことで、暗黙のルールについてもよく知っている。だからこそ、時代遅れの因習を打破するのにふさわしい存在というわけだ。

　ちなみに、父が２本の満塁本塁打を放ったのは３回表。打席に入った時の点差は２点ビハインドと５点リードで、打ったのはカウント２－０と３－２からだった。

文●宇根夏樹

【著者プロフィール】
うね・なつき／1968年生まれ。三重県出身。『スラッガー』元編集長。現在はフリーライターとして『スラッガー』やYahoo! 個人ニュースなどに寄稿。著書に『ＭＬＢ人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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