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プロ野球

打順は「キレイな並び」より「いかに出塁できるか」。2番・栗山起用で見えた西武打線の新たな可能性

氏原英明

2020.09.02

 この起用法が不可解なのは、1番打者が重要なポジションと位置づけながら、下位打線から適任者を見つけようとしているところだ。これは持ち味を失っている源田の2番起用についても同じだ。おそらく辻監督が打順というものに「美しさ」を描いているからではないかと思う。「足でかき回すことができる」など固定観念に支配されすぎているのだ。

 言うまでもないことだが、打順というのは早い順番の選手に打席数が多く回る。したがって、「どの選手に打席数を多く回したいか」をまず考えるべきではないか。

 8月30日の楽天戦ではこんなシーンがあった。8回表、先頭の8番・スバンジェンバーグが二塁打で出塁、9番の源田が犠打で送ったが、1番の金子、2番の木村が凡退して無得点に終わった。考えてみれば、もともと下位打線にいた金子と木村が1、2番を打っているわけだから、得点の可能性が下がるのも不思議ではない。

 一方、9月1日のロッテ戦の先制打の場面はそれを払拭した。

 1番に金子を据え置いたまま、2番に栗山を起用。すると、3回表、下位打線の好機から作ったチャンスでチームトップ打率の栗山を迎えたのである。そして、栗山が先制適時打。その後、4番・山川穂高に3点本塁打でビッグイニングを作ったのである。
 やはり、打順とは打つ選手に多く打席が回るように配慮するべきなのだろう。

 出塁率で並べると、4割越えの山川穂高を筆頭に栗山、外崎、森と続く。この4人が上位に入るべきだ。好調のスバンジェンバーグも打順を上げていい段階に来ている。

 もっとも、過去を振り返れば「2番・栗山」は珍しい打順ではない。かつては多く任された打順で、08年には「2番・栗山」で最多安打のタイトルも取っている。また、15年にも2番を務め、秋山のシーズン最多安打記録をアシストした。秋山が「後ろに栗山さんがいるので、初球から凡打しても何とかしてくれる安心があった。だから、積極的にいけた」と語っていたほどだ。

 また、栗山自身も「2番論」を語るほど、その立ち位置の難しさと試合における重要度を認識している選手だ。

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