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プロ野球

「もう弱音は言っていられない」福浦和也から“バトンを託された男”鈴木大地の心意気

岩国誠

2019.09.25

 ロッテに入団して8年。その間に05年と10年の日本一メンバーの引退を目の当たりにしてきた鈴木。また一人、ロッテを支えた名選手がユニフォームを脱ぐ。それを見送ることになったチームリーダーは、改めて福浦の引退をこう受け止めているという。

「井口(資仁)監督の時もそうでしたし、もちろんサブさん(サブロー氏)とか、サトさん(里崎智也氏)の時もそうだったんですが、まだずっと一緒にやれると思いながらプレーしている中で、お一人ずつ引退して、今回は福浦さんの引退を迎えた。『任せたぞ』と言われて、頑張ろうという気持ちはもちろんありますが、寂しいという思いもありますし、どこか本当に心の整理がついていない自分がいるっていうのが、本音の部分としてあります」

 
 自分の胸の内を確認するかのように、少し時間を置いてから、率直な想いを語った鈴木。

 そして、こう続けた。

「ただ、福浦さんは本当に、身体の部分でも気持ちの部分でも限界までやられて、今日、最高の形で(現役選手として)チームを卒業していく。本当にまだまだいろいろ教わりたかった部分はたくさんありますが、それは叶わない。もう弱音は言っていられないなっていう自分もいます。福浦さんがスピーチで言っていた通り、後輩たちがやってくれるという想いが僕たちには託されている。明日しっかり勝って、それを示せたら、福浦さんも『よしいけるぞ!』と、新たなスタートを切れると思うので、福浦さんに安心してみてもらえるように、明日頑張るだけです」
 そう意気込んで挑んだ24日の西武戦、昨年覇者の分厚い壁に跳ね返され、CS進出の望みは絶たれた。

 しかし、これで鈴木の野球人生が終わるわけではない。

 バトンを託した男と託された男ーー。

 去り行く偉大な先輩の望みを、今回成就させることができなかったが、一つの長い物語の終焉からまた、新たなドラマは続いていく。

文●岩国誠(フリーライター/映像ディレクターほか)

【著者プロフィール】
いわくに・まこと/1973年生まれ。元々はプロ野球のニュース番組制作に携わるTV映像ディレクター。8年前から5年間、SNSなどでの球団公式映像やパ・リーグTVでの制作・配信を経験。その縁から昨年より、フリーライターとして、webメディアでのプロ野球記事の執筆を始める。また、舞台俳優としての経験を生かして、野球イベントなどの運営や進行役など、幅広い活動を行っている。
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